静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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京阪神ドリーム静岡号運賃改訂に関して考察(7/1-)

7/1からの運賃改訂で変わるポイントは以下のとおりです。
1 普通運賃が「乗車する曜日」や「乗車する時期」によって変わります。
2 早売運賃が3種類に整理されます。
3 運賃エリアが一部変更になります。
 と言うワケで考察編。
 京阪神ドリーム静岡号の現行運賃の基本的な考え方は「乗車する曜日によって運賃が違う」というものであるかと思います。大まかではありますが、現行運賃と改訂運賃の比較を静岡駅〜大阪駅でまとめてみました。

  曜日 普通運賃 早売21 早売14 早売7 早売5 早売3 早売1 往復割引
改訂 S日程 7,800 (無し) (廃止) (廃止) (無し) (廃止) 7,500 (廃止)
現行 金・休前日 6,700 5,590 5,790 6.180 未設定 6,310 未設定 11,300
改訂 A日程 7,200 5,800 (廃止) (廃止) 6,500 (廃止) 7,000 (廃止)
現行 土・休日 6,700 4,230 4,550 4,880 未設定 6,310 未設定 11,300
改訂 B日程 6,700 4,500 (廃止) (廃止) 5,700 (廃止) 6,300 (廃止)
現行 月-木 6,700 3,250 3,580 3,900 未設定 4,490 未設定 11,300
改訂 C日程 6,200 3,900 (廃止) (廃止) 4,900 (廃止) 5,500 (廃止)


1 普通運賃が「乗車する曜日」や「乗車する時期」によって変わります。
 多分これが一番大きな変更になります。PDFを見ると「S日程」とか「A日程」とか言ったような言葉が出てきますが。一言で言えば「お客さんからの予約が多く入る事が予想される日は運賃を高くして、逆に予約の少ない日は運賃を下げる」という事です。これは「◯曜日だからS運賃」と言うことではなく、実際にPDFにある「運賃カレンダー」を見ながら考えるのが分かりやすいと思います。
 例えば、7月で見た場合には一番高い「S日程」は3連休前の金曜日18日に設定されています。また、「A日程」に関しては3連休期間中の19〜21日、金曜日、そして「B日程」がそれ以外の土曜・日曜、「C日程」が平日(月〜木)を中心に設定されています。なお、8月に関しては学校が夏休みと言う事もあり、平日でも「B日程」運賃となっているほか、お盆休み期間前後は「S日程」運賃の設定となっています。
 6/30までの「普通運賃」が6,700円でしたので、B日程の普通運賃はそのまま、C日程の普通運賃は値下げになりますが、本当に混んでいる時に乗ると運賃値上げと言うのが実際のところです。また、「往復割引」が無くなったところにも注意です。

2 早売運賃が3種類に整理されます。
 6/30までの運賃ですと、早売21から早売3までの4種類の割引運賃(早売21で座席を全部売り切ってしまうと早売14以降は無いのですが)がありましたが、これが「早売21」「早売5」「早売1」に整理されます。
 S日程は「最も混むシーズンの運賃」で現在の運賃の上に新しく作られたものであることを考えると「早売21」の設定が無いのは妥当かもしれません。A日程は現在の「金・休前日」に近い運賃かと思いますが、これに関しても現在より微妙な値上げになっています。また、B日程に関しては普通運賃は現行の「土休日運賃」に近い性格のものになってますが、普通運賃に関しては現行普通運賃と同じ6,700円ですが「早売り」に関しては微妙な値上げになっています。
 その一方で、C運賃に関しては普通運賃は値下げになってますが、早売21に関しては3,250円が3,900円と値上げ幅が大きくなっているように、早売りに関しては全般的に「値上げ」傾向にある、と言っても過言ではないかと思う所です。

3 運賃エリアが一部変更になります。
 これは「USJ」が大阪府内の運賃区域から「三宮BT」と同じ運賃区域になる、と言うことで微妙に値上げ、と言ったところです。確かに湊町BTを回ってUSJに入るワケですから、どうしても高くしたいと言うものがあるのではないでしょうか。

まとめ 
 本来ならば、競合系統であるしずてつ・阪急の「京都大阪ライナー」号も含めた検討をすべき所ではありますが、一旦ここまでとしておきます。
 既に東京京阪神間の「ドリーム号」や、東京名古屋間の「ドリームなごや号」の他、他夜行高速系統が「曜日+季節別運賃」を導入する中、静岡地区発着の「京阪神ドリーム静岡号」にもこの流れがやって来た、と言うのが実際の所ではないかと考えます。
 東京発着系統のような新規事業者を巻き込んだ競合が静岡発着系統で発生している部分もありますが、新幹線の指定席特急券のように「需要に応じた運賃設定」は事業者の立場から見れば必要であると思いますし、何でも「安い」と言う事に最大の価値を置く、と言う事になると「それ相応の輸送サービスの提供」しかされない、と考えます。特に以前発生した関越道でのバス事故によって大きく行政の方針も変わったこともあり「適正な運賃収受」が「安全性確保」のためにも必要である、と言う観点から考えれば、今回の全般的な値上げはやむを得ないと思います。
 ですが、ユーザーの立場から見れば「時期に応じて運賃が異なる」と言うのは、ある程度ネットを使い慣れている利用者ならまだしも、「今度京都行くのに高速バス使ってみようと思う」と言う一般の利用者にとって「分かりやすい」情報提供が更に求められるのではないかと思います。実際、飛行機やホテルのように「曜日によって運賃/料金が異なる」と言うのは徐々に浸透しつつあるところではありますが、お客さんが「悩まない」案内施策の実施なども同時に進めて欲しいと思うところです。