静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

001 「翼の向こう」(2000/02/27)



■曲目
01 朝影
02 日溜まりの街〜Brand new Heart
03 雪の少女
04 the fox and the grapes
05 約束
06 pure snows
07 兆し〜少女の檻
08 残光〜生まれたての風
09 夢の跡
■オリジナル "Kanon"
 一番最初に手に取ったCD。正直言って「こんなのありなの?」と言った感覚を受けました。ええ、マジで。自分が一番最初にハマったエロゲーである所のKanonの曲をアレンジしている、って言う所もあったんですが、(Kanonの曲はそれはそれで素晴らしいと思います。物語と音楽のイメージが一致しているって言う所で)他のサークルさんのものと比較する中でも、やっぱり頭一つ以上抜き出ているって言うのが実際の所では無いのかな?って思いました。それでは、各曲別のレビュー。
01 「朝影」(★★★★★)
 ゲームではタイトル画面で使用されていた曲です。(OPムービーは、それこそI'veの「Last regrets」って言う曲だったんですが。これはこれでI'veに中毒った原因なんですけど)原曲がストリングスで柔らかな感じを出しているのに対し、このアレンジ版ではFluteの柔らかい音色とStringsのピチカートがいい味を出しています。曲が進むにつれ、次第に入ってくる木管楽器のハーモニーと、微妙なクレッシェンド。
 「朝靄のかかった石畳のまち。冬の弱い太陽が少しづつ、まちの色合いを取り戻す。」って言ったイメージでしょうか。そう、朝の忙しさが始まる前のほんの僅かな時間、そこに流れる空気を描いたイメージなんじゃないのでしょうか。今から約4年前の曲ではあるんですが、今でもどこか旅行に出かけるとき、それも早朝に出かけるときには、一番最初にiPodで聴く曲でもあります。
 正直に言えば、マジで今からでも遅くは無いですので、Fluteでこの主旋律を演奏してみたいです。
02 「日溜まりの街〜Brand new Heart」(★★★☆☆)
 1曲目の「朝影」の次は、賑やかな曲です。非常にPopな感じで「動き出した朝の風景」って言った所でしょうか。基本的にはBandスタイルで、主旋律はオルガンっぽい感じになっていますね。原曲は、Kanonの曲とTo Heartで使われていた曲をMixするスタイルになっていますが、個人的にはKanonの曲だけでまとめてみて欲しかったなぁ、って思ったりもするわけで。
 ですが、この軽快さが何とも言えない良さを出していますね。
03 「雪の少女」(★★★★★)
 2曲目で「う〜ん」と思ったところでやってくれます。Big Bandスタイルのアレンジメント最高です。原曲は主人公の名雪の曲ではあるんですが(確か・・・そうだったよね)、バックのドラムのSwing感が何とも言えなく気持ちいいです。そして、昼間部のPiano,Trumpet(Mute),Twin Trombone,のSoloが気分を盛り上げてくれます、と言うか、Jazz Arrangementをやってくれているサークルさんって言うのは実際の所無いんじゃないのでしょうか。また、Saxの主旋律も非常にいい感じですね。
 原曲の持つ軽やかさを、いい具合にJazzで表現している、そんな1曲です。
04 「the fox and the grapes」(★★★★☆)
 3曲目の「雪の少女」と同じJazzっぽいアレンジなんですが、どちらかと言うとギターが前面に出てきていて、Pat meteheyを彷彿とさせるような感じでしょうか。モロにJazzって言うのではなく、Fusionっぽいアレンジ。この曲の中の聞き所は 2分14秒付近からのGuiar Soloでしょう。どことなく寂しさを漂わせながらPianoとの掛け合いがまた何とも言えない味を出しています。
 原曲がどんな場面で使われていたのかは正直忘れてしまいましたが(確か真琴の曲だったのかな?)、どことなく寂しさを漂わせる表現、それをギターのソロを使っていると言うのはいい感じですね。
05 「約束」(★★★★☆)
 原曲はどの場面で使っていたのかはこれも忘れてしまいましたが(こればっかりですまん)、綺麗な感じでまとめられています。ピアノが奏でる主旋律にAcoustic Guitarが雪の降り積もる様子を描いているって言う感じでしょうか。素敵なアンサンブルが魅力の1曲ですね。
06 「pure snows」(★★★★☆)
 これもClassicalな感じな1曲です。バックで流れるWind Chimeが舞う雪を表現しているのでしょうか。イメージとしては「雪が積もった平原。その上にたれ込める雪雲。そんな中で何を考えるのだろうか」って言うような雰囲気でしょうか。
 ところが、3分25秒過ぎからClassicalな感じから変わり、Fusionぽいイメージになります。テーマは一緒なんですが、イメージとして「夕暮れ」をどことなく感じさせてくれます。一日待ったけど、待ち人は来ない・・・って言うような寂しさが夕陽の中に溶けていく感じじゃないのかなぁ、って思います。この曲は夕方に聴くといい感じかもしれませんね。
07 「兆し〜少女の檻」(★★★★☆)
 どことなく、現代音楽を感じさせる導入部。Xylophoneの不安げなリズムに始まり、低音のBrassやClarinetの不安感を誘うようなメロディ。そして、その後で漸く出てくる寂しげな木管楽器による主旋律。激しい不安や恐れ、そして絶望感を感じさせてくれます。そして、中盤から曲のテンポが上がり、何かと戦うような雰囲気。
 激しさと繊細さが同じ曲の中に一緒に存在している訳なんですが、何か・・・吹奏楽のオリジナル曲でもありそうな雰囲気ですね。一度吹奏楽でやってみたいものです。
08 「残光〜生まれたての風」(★★★★★)
 前の曲とは異なり、優しい雰囲気を感じさせてくれるような曲ですね。Stringsで始まる冒頭部は、小高い丘の上から眺めた雪が積もる街並みでしょうか。ついさっきまでたれ込めていた雪雲が去り、西の空に沈む夕陽がその色で街並みを染めている、って言う雰囲気のように思えます。長かった時が終わり、ほっとする一瞬を街並みが見せてくれる雰囲気ですね。
 そして、Fluteの調べがその街並みを染める夕焼け色に降り積もっていきます。エンディングの「風の辿り着く場所」(原曲の「生まれたての風」もこの「風の辿り着く場所」のバリエーションなんですが)をOboeとClarinetで優しく歌い上げる様子は「物語の最後」を優しく染め上げる雰囲気ですね。Classic調にまとめ上げられた1曲です。
09 「夢の跡」(★★★★★)
 Openingの「Last Regerets」のアレンジ版、と言っても差し支えない曲かもしれません。長く、色んな事があった一日が、夜の闇の向こうに去っていくと言うイメージがあるのかもしれません。またこの曲も木管楽器の優しい音色と、Stringsの柔らかな音が織り上げるハーモニーが印象的です。
 一日の終わりに、色んな事を思い出しながら聴くのがいい曲かもしれません。