静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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"Open the Birth Gate"

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 窓の外の景色を眺めながら、こんな事を考えていた。そう、何でここまでI’veの曲に惹かれているのかな、と言う事。少なくとも、世間一般で言う「萌え系」の曲とは大違いな訳で。
 確かにエロゲを一時期はやっていたし、今でも買うことは買う。けど、買う目的と言うのが「音楽だけ聴きたい」と言うためになっている。本編は正直な話全くやらない。最近の作品についてはだれかに譲るか中古屋に売ってしまうので、結局手元に残るのは音楽のデータだけと言う不可解な状況。正直、いい加減30を過ぎたオサーンエロゲーかよ 、と言われればそうだとしか言い様はないんだが、それでも結局I’veの曲を聴きたいがためにやっているって言うのが実際の所。正直、決して安い買い物じゃない。
 でも、そこまでして聴きたい、そう思う自分が居る。
 一番最初に中毒ったのは"Last regrets"。まぁ、"Kanon"って言うゲームのOP曲であった。ワンコーラスだけ聴いてやたら気になった、フルコーラスを絶対聴きたい、そう思っているうちに"regret"と言うアルバムの中にフルコーラスバージョンが収録されているって言うのをネットで知った。それがI’veと自分との出会いだった。そして、"verge"と言うアルバムに出会う事によって完全に彼岸に逝ってしまった。そう、I’veのヴォーカル曲だけを聴きたいがためにやる暇もないゲームを買い、曲データを抜き出してから売ると言う事をして行った訳で。決していいとは思えないし、ゲームのクリエイターの方に対して余りに非礼な事をしているような気もしないではないが、音楽的に様々な広がりを持つI’veの世界に惹かれていった、それが確実な所である。
 普通のアーティストであれば、やっぱりそれぞれに得手不得手があるはず。往々にして固まりがちになるものだが(まぁ、正直に言えば自分自身のI’ve偏重も決してほめられたものではないが)、それを許さないと言うか、聴く人間をいつでも「えっ!」と驚かせるものがある、そこが一番最初に惹かれた原因だと思う。
 そして、もう一つ。「歌詞」の良さである。本当なら、ゲームそのものをプレイし、その世界観を理解した上で「歌詞」を楽しむのが正しい道だと思うのだが、自分は決してそれをしなかった(一部ではそれをやったけど)。けど、自然とその歌詞の持っている世界に引きつけられていくって言うのが実際の所だったし、それが故に今でも昔の曲から今の曲まで優先してiPodに突っ込んでいる。と言うか、I’veの曲をいつも持ち歩きたくてiPodを買ったって言うのが最大の目的だった。結局そんなこんなで今に至っているって言うのが実際の所。
 結局、このBlogで何度も書いている事になるが、音楽の持つ「物語性」の高さが自分自身にとってのI’veの良さなんじゃないのかなって思う。曲を聴けば思い出される風景もあるし、自分なりにPVにしてみたい風景って言うのが実はあったりする。まぁ、それを表現できないが故に結局は何もしないで居るor思い出したようにBlogで書いているって言うのが実際の所なんだろうけど。曲を聴くことによって色々と思い起こさせる風景、そして、物語。いつかはそんな事を表現できるようになってみたい、と思うのだが実際は正直難しい所なんだよなぁ。
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 そんな中で感じる事、それは「前向きであれ」と言う事。
 自分のiTunesの中に入っている「Trust You're Truth-明日を守る約束-」と言う曲。かれこれ、もう250回以上聴いている。今でも大好きな1曲だし、ここ一番気合いを入れたいと言う時には何回もリピートして聴いている。物語性も非常に高いと思うし、Vo.のKOTOKOもいい声をしている。だが、それよりも歌詞の力強さが曲全体ににじんでいるって言う所に惹かれているんだよなぁ、と思うわけで。守らなくちゃならないもののために真っ正面から向かっていく事の大切さ。そう、決して目を逸らすことなく。前向きに、あくまで前向きに。 
 そして、「Wing my Way」。「Trust You're Truth-明日を守る約束-」とは全く正反対の曲調。どちらかと言えば明るい曲だし、歌詞から「緊迫感」とか「必死さ」と言うのは伝わって来ない。どちらかと言えば、「想いを叶えるためには、自分から進んで行かなくっちゃならない」って言う事を伝えてくれているような気がする。とどまる事ができるかもしれないし、止まってもいいかもしれない。けど、本当に想いを叶えたいのならば、変わる事を恐れてはならないし、とどまる事を選んじゃいけない。前向きに、あくまで前向きに。
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 そんな曲たちの持つ想い(今回のライブでは「Trust You're Truth-明日を守る約束-」は無かったが)、それがI’veの持つ最大の良さだと思う。時にはダークな雰囲気になりながら、またある時は大騒ぎをしながら(いわゆる「電波系」って曲ですな)、けれども、常に前向き。そんな人間の喜怒哀楽にも似た曲たちの存在、それがI’veの良さだと思うし、今までかれこれ8年近く聴いていて全然飽きない原因なんじゃないのかなと思う。
 何よりも一番感じるのは「音楽の力」を作り手・歌い手、そして聴き手が共有できたからだと思う。曲の持つそれぞれの世界観と、それぞれの個性。そして、そのバックボーンに存在する大きな世界観。それが聴く人を魅了したが故、武道館と言う場所でのライブになったって思う。それも、決してメディアに頼ったMarketingではなく、聴き手のネットワークの中で共有された想いと言う媒体であったが故にそれは大きく開いたのだと思う。
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 多分、と言うか絶対、これからも俺はI’veの曲を聴き続ける。当然、他のアーティストの曲も聴くだろうけど、やっぱりここ一番って言うときにはI’veの曲で自分を鼓舞したりするんだと思う。前向きに、そう、常に前向きに。