静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

地勢的条件とか色々

 11/14のエントリでコメントを頂きましたが、長くなってしまいそうなのでエントリで書く事にします。
 まず、あおい君さんへのコメントから。


# あおい君 『浜松の悲劇(浜松市民は悲劇に思っていないだろうなぁ)は、中心部に最初から魅力的な商店街等がなかったことによると思われます。(戦前の状況は知りませんが)
松菱しかなかった時代は、常に松菱の一人勝ちという状況で、その周辺のモール街・有楽街などは、多少の有力な店舗ある程度でとても対等に勝負するというには程遠かったと思われます。
かつて(今でも?)静岡市民は繁華街へ出かけるのを「呉服町(又は七間町)へ行く」と言っていたころ、浜松市民は「松菱へ行く」と言っていたことからもうかがえます。
西武が伝馬町交差点に進出してからもその状況に大きな変化はなく、中心市街地の空洞化を招くような町の資質がもともとあったものと思われます。
浜松市の中心部は、イトーヨーカ堂もアクトシティも遠鉄百貨店も単に大型施設が、たまたまそこにあるにすぎないという状況で、周囲のマチに必要な施設として町と一帯化して有機的に存在しているという状況ではないのです。そのなかでイトーヨーカドーが負けたに過ぎないでしょう。
 浜松の詳しい状況をありがとうございます。
 こう言う言い方をすると失礼になってしまうのかもしれませんが、浜松の駅前広場に立つとどことなく散漫な印象を持ってしまう事があります。浜松は数える位しか出張で出かけた事が無いので何とも言う事は出来ないのですが、確かに「大規模集客施設と商店街の繋がりが見えてこない」って言うのを感じますし、静岡と違って「マチに行ってみようか」と思わせるような雰囲気が何となく乏しいように感じます。
 確かに商工会議所も様々なイベントをやって誘客に一生懸命な訳ではあるんですが、果たして単純に「イベントやったからお客さんが来る」のかって言えば決してそうではないと思うんです。結局、それぞれの店舗の横の繋がりに乏しい、そう言った部分はあるのかもしれません。それこそ、私の後輩で豊橋に住んでいる人間なんかも遠鉄百貨店までは買い物に時々行ってもそっから先はなかなか行かない、って言う事例がある位ですので、どうやってマチの中までお客さんを引っ張ってくるのか、それを考えなくてはならないのでは?と思います。
 
対して静岡市の場合は、最初からコンパクトシティの見本のような街区の形成が大変有利に働いていると思われます。官公庁を核としてマチがつながり、デパートや大きな病院が隣接していて、歩くだけである種の満足感を得ることができます。マチの規模が小さすぎるという欠点はあるにせよ、市庁舎とマチが一帯化している状況は、まるでヨーロッパの古い町のようでこれは静岡市の一大財産だと私は思います。(もちろん、状況は日々変化していて、なにも対策をとらずにこのままでいいと言う訳にはいかないでしょうが・・・)
 確かにそうですね。その街区を駅前から本通りあたりまで毎日ぶち抜いて歩くのが私の通勤経路なんですが(苦笑)、いい具合に必要な施設が集まっているって言うのは静岡の強みであると思います。
 確かに市役所や県庁も重要なファクターだと思うのですが、個人的には静岡赤十字病院と伊勢丹の微妙な立地だと思うのです。正直、静岡駅から歩いていくと日赤までは大体15分ほどかかるのですが、ルートとしてはやっぱり呉服町商店街を歩くのが一番わかりやすい訳です。あと、伊勢丹の品揃えって言うのにも注目すべきなんじゃないのかな?って思っています。西武や松坂屋とはまた違った品揃えをする事によって(この当たりは私の主観的なモノの見方ですが。個人的には伊勢丹の品揃えが一番いいような気がします、特に食品系は(笑))、お客さんを呼び寄せる事が可能になる訳ですし、そうなると必然的に商店街を歩かなくてはならない。そうなると、商店街もこの流れを上手くつかみたい、と言う事で単純に大型店を排斥するのではなく、地域の店舗として協調すべき関係であると言う認識が出来たのではないかな、と思うのです。
 コンパクトシティ、と言えば個人的には「本当にそうなのかなぁ」と思う部分も主観的にはあるんですが(ちなみに、パソコン関係を扱っている店はありませんからね<呉服町界隈)、考えてみれば「必要なものがほぼ揃う」と言うのは珍しい場所なのかもしれませんね。

それはともかく、郊外に大型SCしかないマチは、地域の文化や情報の発信(隠微なものを含む)という点では非常に疑問があります。
絵描きがみなパリを目指すのは、本人の資質ばかりでなくマチが芸術家を育むという土壌があるからでしょうが、そういう土壌は多様なものがあふれるマチがなければできないでしょう。
例えば、アクトシティに用事があって、せっかく中心部に来ても、ただそこへ直行し、用事がすめばそこからすぐ戻り、買い物といえば休日に郊外の大SCでまとめ買いをする。そういうマチが本当に心豊かに暮らせる町なのかなぁなんて思います。(浜松市を蔑視しようとする訳ではないですが・・・・)
それに岡田ヤさんなどの最大の欠点は、利潤第一主義でマチの一員としてマチと伴に生きマチに貢献するという姿勢が非常に希薄なことだと思われます。
 「ぶらぶら歩けるまち」は本当に重要だと思いますし、その「楽しみ」が無い所って言うのはやっぱりこれから先終わってしまうのかなぁ・・・などと思っています。確かに大規模SCは便利ですし、自分なんかも確かに使っていますが、「何かを買う楽しさ」や「何かを選ぶ楽しさ」って言うのには欠けているのかな、って思います。どうしても「何か買わないとならない」って言うような必要性に迫られているって言うか、そんな感じがあります。
 パリの例えは本当に私も同感です。今でこそ色々な問題がありますが、やっぱり「人を引き付けるチカラ」を持つマチの強さだと思いますし、ある種の目指す所であるのかもしれません。ただ、どうやればそこまでたどり着けるのか、は本当に難しい部分があると思いますし、付け焼き刃的な施策で中期的にどうなるものでもないのもまた事実でしょう。「負けないものを持つ」と言う事は色んな場面でよく言われている訳なんですが、果たしてその「負けないもの」を本当に見つける事が出来るのか、そして、それを定着させる事が可能なのか?と言われれば正直疑問な部分があるのはまた事実です。
 それこそ静岡市は「コンテンツバレー構想」とか言うのをやっている訳なんですが、確かにコンテンツ産業がこれから先の日本にとって重要なものであると言うのは私も分かりますし、一人の産業系ヲタとしてwそんな産業が地元に定着するのは楽しみなんですが、果たしてその地域が持っている土壌と一致するのかって言えば正直分からない部分はあります。それこそ、東京まで1時間・約6,000円、3時間・約3,000円で行ける立地条件ですし、中途半端にしかやらないのであれば、東京で仕事をした方が集積は大きいですからトータルなコストを考えると安く上がる筈です。それだったら、コンテンツでも地場の産業である工業と密接に関係した「インダストリアルデザイン」に傾注した方がブランドを作るためには役立つのではないかな?などと思っております。
 そんな全般的な動きの中で、本当は地域を考え、その中で商業の有るべき姿を考えるような事が必要なのかなぁ・・・などと思っています。最後の方は大規模SCとは全く関係ない話でしたがw。


# 国土コピペ大臣 『TBありがとうございます。
郊外型大規模SCの問題は難しいです。資本主義では企業の目的は、aisyuno_3rdclaさんの仰るとおり、基本的には利潤最大化なので企業側に求めるのは不合理で、それよりはやはり住民側がSCが来ることによる地域の効用と不効用をきちんと考えないといけないのでしょうね。』 (2005/11/15 22:19)
 確かに「利潤最大化」は企業の究極的な目標ではあるのですが、問題はそのプロセスがどうなっているのか、と言う部分にあると思います。近年、"企業の社会的責任"って言う事がよく言われていますが、果たしてその部分との関わりをどう考えるのかな?って言う所が結構気になっています。
 少なくとも、企業にしてみれば株主・従業員・地域住民と言う3つのアクターが存在する訳で、そのアクターそれぞれが得る利潤の和が最大にする事が今後の「利潤最大化」と言う事の持つ意味になってくるのではないかなと思っております。少なくとも、株主の利潤を最大化した所で、果たして本当に「必要な」企業になるのかどうかは分からない部分があるのではないでしょうか。
 単純に「出店反対」とか言うのではなく、本当に地域にとって必要なものであるのか、と言うのは考えていかないとならない部分はあるかと思います。