静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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急行静岡井川線運行最終日

最終日の天気は曇りだった。いつ雨が降り出してもおかしくない空模様。
そんな中、今日は診断士試験対策講座があったので午後から市内に出かけていた。その帰り道、そう言えば今日で急行静岡井川線が運行終了だった、と言う事を思い出す。
つい2週間前に乗りに行った。自分としてはそれで終わらせてしまっても良かったのかもしれない。だが、最後の様子を残しておきたい、そう思って踵を返す。とは言え、山から下ってくるのにはまだ1時間以上あったので、事務所に行って書類整理をしながら時間をつぶす。そして、1740頃、事務所を出、葵区役所県庁前バス停で井川からのバスがやってくるのを待つ。待つ事約10分、その独特なボディの車両はやってきた。

この道をまだ走る機会はある。だけど、「急行静岡井川線」としては今日で最後の運行。昨日・今日と井川まで行く事は出来ず、途中の富士見峠での折り返し運行になってしまったせいか、お客さんは残念ながら誰も乗っていなかった。ただ、ドライバーさんと車掌さんが乗務し、「路線バス」としての最後の勤めを果たしていた。そして、撮影をする自分の目の前を通り過ぎて静岡駅前へと向かう。
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その間に新静岡まで歩いて向かい、南口プラザへ先回りをする。
待つ事数分で、静岡駅前からやってきた。

最後の旅路を終え、これで最後か・・・と思っていると「これから到着式やりますよ」と言うしずてつの社員さんのお話があったので、折角なので立ち会わせてもらう事にした。バスは夕方の発着の多い時間帯なので一旦乗り場から離れ、もう一度同じホームにやってくる。

まずは車掌さんがバスから降り、ついでドライバーさんもバスから降りてくる。
会社の方から運行の労をねぎらう花束が贈呈される。そして、

車掌さんのお孫さんだろうか。「おつかれさまでした」と言う意味を込めての花束が渡される。今、静岡市内を走る路線バスで車掌さんが乗務しているのはこの路線しかない。どんな勤務交番で乗務をされていたのかを部外者である自分は知る由もないが、恐らく長い間、井川と静岡を結ぶこの路線で仕事をされたのではないだろうか。夏のトップシーズン、厳しい冬の間、静岡と井川を結ぶ唯一のこの路線を支えて来た、そんな万感の想いもあったのでは無いかと思う。

そして、記念撮影。もう出す事は無いであろう「500 畑薙ロッジ」と言う行先表示。もう「想い出」に変わってしまったのだ、そう思わざるを得ない光景。

そして、行先表示を回送に変え、バスは鳥坂営業所に向かって行った。
***
本当に10分程度と言う短い時間だった。駿府ライナー出発式のような華々しい式典ではなかった。だけど、そこにあったのは「長い間おつかれさま」と言う雰囲気に満ちあふれていた時間。そんな所に居合わせる事が出来、何か自分なりにも一つの区切りがついたような気がしないでもない。

葵区内だけを3時間以上かけて走っていた「急行静岡井川線」。
色んな人の色んな想いを乗せて走り続けた日々は、想い出へと変わった。


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