静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

コクーン展示会行ってきた。

 と言う訳で夏休みをむしり取った倉庫番です。
 今日はお前何しに行ったのか?と言えば・・・以前のエントリでも書いたウィラーの新車「コクーン」の展示会に行って来ました。普段はウィラーだとか高速ツアーバスとは全く縁のない生活を送っているのですが、折角の話なので行ってみることに。

 外見はどう見ても普通の新セレガでした。本当にありがとうございました。ですが、バスに乗り込んでみると・・・

 と言うか、「これがバスの車内なのかよ!」とこればっかりは言わざるを得ない車内の様子。いや、ついにここまで来てしまいましたかと思いつつ座席をのぞき込んでみます。

 座席は1-1の独立座席。椅子約約30度程通路に向いています。椅子の表面は薄いベージュに。ただ、実際に見てみると「何かこれ、実は狭くない?」と思ってしまった所なのですが、実際に座ってみますと

 私みたいな体格のいい人間には正直狭いです。1-1配列のシートかつシェルがあると「国際線航空機のビジネスクラス」を連想してしまうのですが、流石にバスではそれは難しく、通常の4列シート車の一人分の幅程度しかありません。また、足元の広さですが10列配列にしてありますので、シェル部分を考えると結構狭く感じたところです。いや、これだったら楽座車10列配置の運転台側足元の方が広く感じますよ。
 あと、座ってすぐに「リクライニングのある場所が分からない」と言うのに気付きました。実際、マニュアルがあるのでそれを見れば分かるのですけどね・・・。この間ビジネスクラス便に乗ったときの座席のように電動ではありません。手動です。ですが、細かい部分は結構工夫されていました。

 側面には鏡が目立たないように設置されていて、座席での身だしなみを直すのに丁度良い感じになっていました。これは流石にJRバスの「プレミアムシート」では見たこと無い設備かと。そして、

 正面にはエンターテイメントシステムがあるのですが、その下には折りたたみ式のテーブルが設置されており、読書灯(と言うより手許灯か)が付いていました。また、コンセントも設置されており、iPodや携帯電話などの充電も出来るようになっています。
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 後、気になる所と言えばシェルに付いているグリップの位置。

 この写真を見て頂くと分かるとおり、座席から立ち上がろうとするときに握る部分が実はありません。最近の楽座車なんかでは前の座席の頭に付いているグリップを持つと立ち上がるのが楽なのですが、ちょっと立つのに難儀したところがあったりります。この部分に関しては要改善かもしれません。
 ちなみにこの車両には洗面所が設置されていません。実際車内の洗面所を使う人って言うのが居ないと言う事もあるのでしょうか、それとも人数をある程度乗せないとペイしないのか、と言うところが疑問になってくるのですが、ちょっとこれは意外だなと言う感じがしました。
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 車両そのものとしては「良くもここまで作ったよなぁ」と思いますし、今までの「バス」と言う乗り物に対して持っているイメージを根底からひっくり返す、と言う意味では意欲作だなと思います。恐らくここまでのシェルなんてものの既存の金型なんかは無いと思いますので、新規に金型を起こしたとは思いますが・・・正直に言えば「何か最後の詰めが足りない」って思う所があります。
 例えばシェルの中。お客様が座るところはFRPむき出しになっています。メンテナンスの事を考えれば梨地にするより光沢の方が楽だとは思うのですが、正直何か「安ぼったい」と言う印象を受けたりしましたし、椅子そのものも決して広くはないですし、通路もギリギリ人が1人通れる程度(多分30cm位じゃないのかな?)。大きな荷物はトランクに入れるにしても、「トランクの中に荷物を入れたくない」と言う人が車内に持ち込むと置場が無い状況。実際そのような問題が起こったときにどのように現場が対応するのか、って言うのが非常に気になる所です。
 少なくとも自分のような体格の良い人にはお勧めできませんし、相変わらず不親切な乗り場案内ですので、正直万人にお勧め出来るような車両でありません。恐らくマーケットをセグメンテーションしてターゲットを絞り込んだお客様(自分が見た限りでは「20代後半から30代の旅慣れた一人旅の女性」と見ていますが)にフォーカスした車両であるとは思いますが、条件が合うようであれば使ってみてはどうでしょう、と言う感じになりました。はい。
*補記*
 裏Blog"MIKU地域社会研究室"で、暫くの間「高速ツアーバスのビジネスモデル」を連載しています。興味の有る方はそちらの方も併せてお読み下さい。