静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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MIKUNOPOLIS 2011 in Los Angeles on Hamamatsu


また浜松まで行っておりました。そう言えば6月の末に書いた話の思った事とかまだ書いてないのですが、それはそれで後日書く事にして。で、今日行った理由と言うのは・・・


MIKUNOPOLIS 2011 in Los Angeles −はじめまして 初音ミクです−ニコ動での中継を、この方と、ここで集まってみんなで見ようというトンでもないネタ企画に参加して来ました。あ、当然PCは各自持参、ネットチケットは各自購入と言う非常にシュールな光景だったのですがw。

やっぱり凄いです。在米の俺らなんかすごくね?とか「マジで音源欲しい、つか、CD出たら俺マジで買うよ」とか言うような感じなのですが、ミクさんのライブは見終わった後にいつも何かを考えさせられるって言うか、喉元に何かを突きつけてくるような気がして仕方無いものがあります。で、それは「社会」とか「文化」とか「産業」とか言う、自分のホームグランドに絡んでくるものになってくる訳で。以下、そんな考えた事をtwitterに上げたものを再構成してまyとめてみました。

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【「度量」を持って受け入れること。】
 日本の「強み」であった「ものづくり」の上にこの(今回のLAライブ)流れがあると信じたいし、日本と言う国の持つポテンシャルはまだあると、今回のライブを見て本当に感じました。そんな中で「言葉の壁」って言うものは案外簡単に乗り越える事はできるのかもしれないし、実際にハッシュタグを追っていくと現地では「日本語がスタンダードになっている」って言う話もあって、問題かもしれないけど「課題」になっているとは思えないんです。
 だけど、その流れを作るのに一番大きな課題となるのは、いわゆる「サブカル文化」と言うモノに対する「偏見」やらその他諸々の「心の壁」なのかもしれません。確かに普通に生きて普通に生活している人にはそんなに関係の無いようなものですし、最近ではメディアで(誤解も含めて)取り上げられるようになりましたが、それでも既存の社会からは白眼視されるようなものであるのは冷静に言って間違い無いと思います。

 そんな中で、まずは「自分の立ち位置」を「自明のモノ」と考える態度を捨てないとならないんじゃ?と考えさせられたのは実際のところだと思います。いや、そりゃ「ミクさんマジ天使」と大声で言うのはいいかもしれませんが、じゃぁ、その言葉を何も興味ない人の前でそのまま大声で言ったところで「色々と理解して貰えるのか?」と言えばそんな事は無い訳で。良くてスルー、悪くてキチ○イ扱いですよ。こう書くと「空気読め」って言っていると誤解されるかもしれませんが、要は戦略の問題なのかと、内輪受けする言葉で話すのではなく、外の世界でも十分通用するような言葉で話した方が「味方を多くすることができる」訳ですから。
 そう考えると、確かに日本発の広義のサービスがここまで来たって言う事実は凄いと思いますし、スタッフの方と言うか、ビジネスとして捉えたそれぞれのアクターの方はやっぱり凄いと思います。ですが、その良さを「日本発」と言うような「偏見」や「心の壁」を乗り越えて、「いいものをいい」と捉えて熱狂していたアメリカのファンの人を見て、正直「こりゃやっぱり日本人はアメリカ人に敵わないなぁ」と思ったのも実際の所です。少なくとも、やっぱり色んな形で自分達が「異なるもの」を受け入れるだけの度量がまず必要なのかなと思う所で。

 確かにボカロ曲はいい曲が多いと思うし、自分も色々と色んな場面で助けられたし、今でも助けて貰っている。そんな創り手へのリスペクトは、その貰った力を「自分のできること」に変えて色んな人に「自分のなすべきこと」(仕事とか、地域研究関係)をして行く事なんじゃないのかと思って来たし、実は金曜日にtwitter上で叩かれたけど(苦笑)、やっぱり自分のその方向性は間違い無いと思っている。
 だけど、ボカロ曲ばっかり聴いているんじゃなくって、色んな音楽を聴いて、色んなモノを見て、色んな事を感じて、それを考えて、自分なりの考え方にまとめ上げる。そんな事が実は聴き手にも求められているのではないかと思うんですよね。どんなにミクさんが好きであっても、それは「one of them」として感じることができる度量も必要だと思いますし、その「one of them」と言う考え方が分かれば、更に曲であるとか歌詞の世界を感じることが出来るんじゃね?って思うんですよ。ええ。

【「産業」が過去を乗り越えるためには?】
 セットリストを見て、iTunesでセレクションを作ってみたのですが、今回のLAライブの曲は全部持っていました。まぁ、一体どんだけミク廃なんだwと思ったのは当然の話なのですが、これらの楽曲が「買う」のではなく「ニコ動で聴ける」って言うのは、冷静に考えるとトンでもない事なのかもしれないような気がします。今までは好きなアーティストの曲はCDを買って聞いていたのですが、それが「ニコ動」と言うインフラで「無料」で聴けると言うことは。
 ニコ動に関しては既に色んな人が書いているのでここで書きませんが、サプライヤー(敢えてこう書きます)の観点からしてみれば「何かを表現したい」とか言う「想いの価値」と言うものが、「金銭的価値」より大きくなっているって言う事の証左なのかなぁと思うんですよね。これはこれでどうこう言う事はしませんが、自分のような「産業屋」的なスタンスの人間から見た場合、そんな「想い」を受け止める事が出来るようなプラットフォームが必要だと思いますし(既にピアプロとかがそんな仕組みだと思うのですけど)、色んな場面においてそんなプラットフォームを作る必要があるのではないかと思うのです。

 ですが、そのプラットフォームと言うものはどうも世間で誤解されている部分があるようで、「ただの中間搾取じゃね?」とか思われかねないんですよね。そんな考え方を一般の社会に浸透させるためには何を考えればいいのか、どんな仕組みを設計すればいいのか?が非常に気にかかるところなんです。(ここの部分は「同人」と言う文化とは別の枠組みを想定しています。「同人」は「同人」で色んな仕組みがありますので。ただ、先行事例として調査するのはアリだと思います。ただ、今日のエントリはそれが目的ではないので割愛しますね。)
 その「プラットフォーム」を「産業の1つ」として成り立たせるようにするためには、少なくとも今までの「産業政策」ではぶち抜く事が出来無いような気がしないでも無いですし、個人的にはそのヒントが「文化」にあるような気がしてならないんです。この辺りは佐々木先生の「創造都市論」やパットナムの「ソーシャルキャピタル」の考え方においらがかぶれているからなんですが。

 だけど、その「文化」ってのが正直悩ましい存在なんです。。古い考え方(敢えてどこの地域とは言いませんがorz)だと「文化は暇人のすること」って言うような考え方がはびこっていますし、企業のやってるメセナ活動だって不況期にはコスト削減のために「カットされる対象」になる訳で。中小企業の場合には「そんなもん」って言うような感覚なんですよね。要は「余計なもん」と言う考え方なんです。
 この辺りの考え方を一言で言えば「初音ミクがついにLAライブ、それもNOKIAホールをほぼ満杯かよ。」って言っても、その手の話に興味ない人には「あっそ。」で終わるどころか、話し方によっては「だから何?」と軽くスルーされてしまう話に近いようなものだと思います。で、そこの部分の凄さを説明しても「だから何なの?それが何か生活に関係あるの?」って言われればそれでおしまいになる訳で、結局共通の土俵ってもんがまだ無いところだと思います。
 今回のLAのライブだって、USのTOYOTAが「市場に対しての効果的なアプローチ方法として採用した広告戦略」の一環になりますので、身も蓋もなく言ってしまえば「USのTOYOTAが、今若者に人気の初音ミクをCMに使った」って言う所で消費されてしまう話題なんですよね。確かにUSのTOYOTAがその判断をした背景には色々あると思いますし、米国子会社ではあるものの、トヨタの評価基準に適った、って言うのは評価されるべきだと思います。

 そんな中で「ものづくり」と言うことを考えれば、「ものづくり」の「本質」を忘れちゃならないと思います。ですが、その中で「他競合製品や競合サービスとどうやって差異をつけるのか」が今後の課題になってくると思いますし、既にそこらへんは現場では既に課題になっていると思うのです。
 その「差異」は、今までであれば「多機能」とか「新技術」とかになると思うのですが、何故iPhoneがSB回線なのにここまで流行っているのか?と言うことを重ね合わせて考えて見ると分かりやすいと思うんですよね。変にごてごてするよりも、シンプルで分かり易いものが求められていると言うか何と言うか。そうなってくると「ものづくり」に対する「思想」、すなわち「モノの考え方」とかそこらへんになるのかと思います。
 「モノの考え方」、結局ここで「ものづくり」って言うものが「文化」と合流してくるような気がしています。創り手の「訴えたいもの」、だけどそれが独りよがりにならずに「色んな人に共感を得るようになるもの」に仕上げていく事が必要なのではないでしょうか。

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 とまぁ、相変わらずの長文でごめんなさいw。
 いや、ここまでやっぱり考えさせられるんですよねぇ。距離や言葉って言うものだけではなく、社会や思想、そして、過去と未来と言った色んなものを「そんなの全然気にしないからね!」って言ってひょいと乗り越えるミクさんに「すげー」としか言いようが無いんですが、いやマジで。