静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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サロ110系1200番台惜別乗車。

 まだダイヤ改正までは時間があるんだが、普通乗車券で東海道線に乗る機会が暫く無くなってしまうので、ここぞとばかりに「普通電車グリーン車」で東京→草薙間を乗る事に。まぁ、ダイヤ改正後も沼津までは普通電車グリーン車は残るのだが沼津から先には行かなくなってしまうので。それも、今後まだ乗れるチャンスのある2階建てグリーン車ではなく、わざわざ国鉄の頃に製造された平屋のグリーン車に乗る事にしていた。今回の野暮用の別の目的だったりもする(苦笑)。まぁ、その電車が来るまで2時間ほど秋葉原で暇つぶしをしたって言うのは秘密だけどね。
 で、18:31分発の普通電車静岡行、5号車のグリーン車に足を踏み入れる。その瞬間、頭の中で時間が一気に遡ったって言うのは言うまでもない。そう、何故か思い出したのは「急行東海号」だった。確かに椅子の色は違ったりしているが、蛍光灯のカバーと言い冷房装置と言い、「急行電車のそれ」を思い出した訳で。席に座るとお世辞にも「座り心地はいい」とは言えない。余程ではないが、草薙まで普通電車とは言えグリーン料金1,900円を出すだけの価値はあるのか?って思ってしまった。
 だが、考えてみた。
 この電車の普通車を学校帰りに何回か使った事があるんだが、少なくとも平塚までは混んでいたりするし、日によってはとんでもない普通車(足下が狭い向かい合わせの椅子の電車)が来たりする。そんな状況の中で多少座り心地が悪いと言えども、他の車両とは隔絶された空間の中でのんびりすることが出来ると言う意味での1,900円な訳で。そう考えるとまんざら「悪い」って言う事はない。東名ハイウェイバスなら東名清水まで2,000円がちょっとだけ抜ける値段(但し学割)で帰ってこれるんだが、時間帯によっては何本か見送らなくてはならないし、それこそ混んでいたら東名清水まで隣の席に人が座っている事だってあり得る。新幹線とはまた違った意味の「時間を買うためのグリーン車」って言う存在なのだろうか。
 いつもならiPodで音楽を聴きながら東海道を下るのだが、今日は列車の刻むリズムを聴きながら車窓〜とは言っても真っ暗だけど〜をぼんやりと眺めていた。どんな人がどんな思いを抱いてこの電車に乗ってきたのだろうか。そして、この電車は残された時間をどんな思いを乗せて東海道を走るのだろうか。そんな事をぼんやりと考えている。そう言えば、とある上場企業の役員さんがこんな事を言っている事を読んだ事がある。


「いつか、湘南電車の二等車で通勤できる身分になってやろうと思って、一生懸命仕事をして来た。そして、グリーン車で通勤ができる身分になったら、会社が運転士付きの車で通勤するようにって言ってきたんだが、私は電車通勤を選んだ。」
 何か分かるような気がする、このサロ110に乗ってみて。
 絶対乗り心地は二階建てのグリーン車の方がいい。けど、この独特な雰囲気はこのサロ110じゃないと味わえない。国鉄って言う存在だからこそいい意味でも悪い意味でも作る事の出来た電車じゃないだろうか。まぁ、実際には登場した頃の特急電車の普通車って言うレベルなんだろうけど。
 あと、車掌さんの接客もいい味を出していた。もうそろそろ定年なのかなぁ・・・って言う方ではあったが、フレンドリーな接客で「はい、草薙までですね。ありがとうございます」って言う感じで検札をしてくれたし、平塚を出た後に「もうお客さんは降りるばっかりですから、椅子を回してくつろいで下さい」って言う感じの案内もしてくれた。そして、熱海駅で降りる前には「ここから先は会社が変わりますので、ここで降りさせて頂きます。どうぞごゆっくりと」って言う感じで案内をしてくれた。グリーン車だから、って言う事もあるのは確かなんだろうけど、この人的サービスの良さも「グリーン車の魅力」なのかもしれない。
 そして、あと1ヶ月すると走らなくなる沼津を出ると、お客さんは本当に居なくなった。車掌さんも熱海で交代したが、恐らく最後尾でドア扱いをする車掌さんだけで一切検札なし。id:Nottieさんも、このグリーン車に乗られたようなんだが、その日記にこう書いている。

何より思ったのが「改札しろよ。」
1時間近くあるのに車掌が通る気配すらない。東の車両だから協定でも結んであるのか?
一人きりなのをいいことに車内を見て回ってたら、東京車掌区の印が入ったデータイムグリーン券を発見。
やっぱり熱海の向こうとこっちでは世界が違うんだろうか。
乗ったのはサロ110。124のほうは首都圏で生き残るらしいから。
乗り心地のほうはなかなか。先日乗った371系ほどではないけど、やっぱり普通車とは違う。
何より、雰囲気が長距離列車らしい。
ホルン吹きの休日 - 2004.9.7(Tue)
 えーっと、今更ながらツッコミをば。
 協定云々って言う話ではなくって、ただ単に車掌さんが一人乗務だけなだけです(苦笑)。流石に1両で10人以下のグリーン車に車掌さんを乗せる訳にも行かないので、って言うのが東海会社的な言い分のような気がする。車掌行路増やせば車掌さんの数を増やさないとならないし、人件費がかかって(+д+)マズーって言う所かと思います。でも、「何より、雰囲気が長距離列車らしい」って言うのは正直同意です。それも、敢えてはっきりと言えば20年以上前の(苦笑)。今までこんな非効率な列車が生き残っていたのが奇跡的だと思うんだが、それを当たり前のように見て、そして、学校帰りに静岡〜沼津間を「東京行き」の電車で帰ってきた自分が居た(そのの頃は、17:00頃発と17:30頃発って言う静岡発東京行の普通電車もあった。まだ国鉄の頃の話です)。そんな自分から見れば「色んな想い出が詰まった電車が思い出になる」って言うのは正直残念な所もある訳で。でも、仕方ない話なのかもしれないですけどね。
 そして、興津を出るといよいよ5号車の乗客は私だけに。最後の走りを一足早く楽しませて〜いや、名残を噛みしめながら〜草薙まで帰ってきました。もう、こんな経験は出来なくなると思うと正直残念に思う反面、JR東海の熱海〜沼津間も、JR東日本普通列車グリーン料金改定に併せて定期券での利用可になると言う噂も流れてきているだけに、今からE231系グリーン車湘南ライナーグリーン車を750円で乗り継ぎできる事をを楽しみにしている自分も居たりします。