静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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まぁ、こんなことを。


 しずおか産業創造機構は26日の理事会で、ベンチャー企業支援を目的にした直接投資事業が法改正で頓挫したことを受け、新たな支援として県内金融機関とともに投資ファンドを10月をめどに設立し、同ファンドからベンチャー企業へ投資する方針を決めた。自ら1億7000万円を出資し、今後、金融機関などにも出資を募るとしている。
 ベンチャー投資をめぐっては、同機構のような公益法人の例外的な株式保有(投資)を認めていた時限立法が今春、期限切れとなったため株式保有が困難となり、事業を計画年度まで続けることができなくなっていた。
 計画では金融機関などから計3000万円の出資を募り、出資額2億円の投資ファンド「しずおかスタートアップ投資事業有限責任組合(スタートアップファンド)」を設立する。株式を保有するのは同ファンドだが、ファンドの管理運営自体は同機構が担当するという。
 投資対象はベンチャーキャピタルがまだ投資しない、ごく初期のベンチャー企業とし、「民間からの投資の呼び水にする」としている。今後4年間で、20社程度への投資を予定している。
投資ファンド設立 しずおか産業創造機構が方針静岡新聞 5/28記事確認
 事情は色々と漏れ聞いておりましたが、大人の事情ってやつで。
 個人的にはアーリーステージへの投資は必要だと思うんですが、問題はそれを「誰がやるのか?」って言うコンセンサスをどうやって創るのか?って言う部分だと思うんです。確かに「民間が出来ることは民間で行い、民間じゃできない事を公的機関が行う」って言うものは存在すると思います。
 この「投資事業有限責任組合」って言うモノは、まぁ、形としては民間が行う事になるんですが、実際には公的機関が無限責任組合員(要するに最後の最後まで泥被るって言う立場)になるワケで、「何でそんな事を税金を使ってやらなくっちゃなんねぇんだよ」って言う事がどっかで出てきそうな予感があるんですわ。
 けど、個人的にはこう思うんです。阿漕に儲けちゃなんないけど、収支トントンで次のステージに持っていく事が出来ればいいんじゃないのか?って。要するに、儲けが出れば出たでいいけど、赤字にならなきゃいいよって言うレヴェルの話だと思うんです。まぁ、その投資が「公平公正の原則」から外れないようにしないといけないよ、って言うものは当然存在するんですが。
 まぁ、会社を多く作ろうって言うのが日本全体の方針にあるって言えばあるんですが、その方向性を担保するための施策としては「公的機関が将来性を判断した上で出資しても構わない」って言うように思うんです。
 確かに民間でも出来る仕事かもしれません。ですが、どのVCだってボランティアでやっているワケじゃないですし、当然「儲けを生む」と考えられるような企業じゃないとお金を怖くて出せない事情があります。けど、本当に何かをやろう、とする人は多く居るわけですし、そんな人に対してどんな支援をする事が出来るのか?って言う事を考えると、やっぱり公的機関が出資する事の必要性はあるのではないでしょうか。
 じゃ、明治大正の頃に出来た会社はどうだったの?公的機関が金を出していたワケじゃないじゃん、って言うツッコミがあるかとは思いますが、結局それらの出資元はその地域で活動をしていた他のアクターだったワケで。大きい会社もあれば小さな会社もある、そして、事業の内容によってはごく普通の個人も「ああ、あいつだったら金を出してもいいだろう」って言うFace to Faceな判断も可能だったんだと思います。それが故にヤマハやスズキって言う企業が静岡県西部で成立し、地場の企業として大きな力を持つようになって行ったのではないかと思うのです。
 今の社会を考えると、当然ではありますがFace to Faceの関係が成り立ちにくくなっているって言うのは分かりますし、個人の生活が重視される時代ですので、正直に言えば明治のころのような関係と言うのを築く事は出来ないのではないかと思いますが、その代替システムとしての公的機関と言うものを考えることが出来るのではないでしょうか。
 個々の権能を一旦「公的機関」と言う機関に委託し、その「公的機関」がその委託された個々の権能を効率的に運用する、それが今の行政システムであると思うのです。当然ではありますが、そこには「税金」と言うものを使うと言う責任があるワケで、当然その行為に対する説明責任が付いてくるって言うのは当然の話ではあるんですけどね。けど、誰かがやんなきゃ始まらないですし、「何かをしたい」と言う人の想いに応える事ができるための基盤を創るのにはこーゆーシステムが無いと上手く回らないって思うんです。
 まぁ、この先どの位上手く回っていくのか、そして、どんな企業がどんな事を考えて進めていこうとしているのか、内部にありながらも外部の視点を常に持ちながらウオッチして行きたいですね。