静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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つくばエクスプレスと地域の目指す方向性

 まぁ、楽しみですね。8/24開業ですか・・・。水曜日か、会社休んで初日乗りに行こうかなwwwっw。けど、ウェブページはぶっちゃけ格好いいですね。まぁ、京阪大津線公式ページとは違った方向性、って言う所か。とまぁ、今回は別に鉄ネタをやるワケじゃないので念のため。
 まぁ、2ch鉄道路線・車両板の【只今新御徒町】つくばエクスプレス【次は秋葉原】スレを読んでいて、そう言えば柏・東葛クラスターの話を千葉県の同業者の方から聞いたのを思い出したもんで。同業者って言っても鉄ヲタの方じゃないですから。
 その話の中であったのが「柏・東葛クラスターが最近になって注目を浴びてきている。で、8/24のTXの開業でこの傾向に更に拍車がかかる」って言っていたワケで。で、実際どうなのよ?ってググって見てみると千葉県のサイトでこんな文書を発見。


 県民一人ひとりがいきいきと暮らせる千葉県を目指す上で、良好な都市環境を整備し、多彩な産業の集積を生かして新産業・新事業を創出し経済の活性化を図って いくことは緊急かつ重要な課題です。特に、柏・流山地域では、つくばエクスプレスの開業を契機に、定住促進や活動・交流の活性化を図り、沿線に集積している大学・研究機関や企業との連携による、まちづくりと新産業創出に向けた取組みを積極的に推進していく必要があります。
 具体的には、沿線地域の豊かな自然環境を活かした、環境・健康を軸とする、まちづくりを推進することにより、快適で安心して暮らせる生活空間づくりに取組み ます。
 また、世界レベルの研究機関の集積を活かした国際競争力のある国際的学術研究都市の実現のため、大学と地域の連携による、まちづくり・国際化の推進を図るこ とにより、21世紀の新しい地域モデルの確立・新たな都市創造を推進していきます。
施策27 つくばエクスプレス沿線地域のまちづくりと産業拠点の形成*リンク先はPDF文書
■6/20確認 千葉県総合企画部企画調整課計画室「ちば2005年アクションプラン(案)」について
 いや、こんなもん見せられると鉄ヲタ根性よりも地域政策屋としてのおいらの血がうずくって言うわけで。まぁ、確かに千葉県とは言えども、首都圏外の人間から見た場合「千葉」って言う印象は正直言って無いワケで<常磐線やTXの沿線。まぁ、関宿町に現在札幌在住のW氏が住んでいた事もあるんですが「ここもティバかよΣ(゜д゜lll)」って言ってしまった事はまぁナイショだ。
 おいら的にこのTX沿線がなんと言ってもおいしいって思うのは東大柏キャンパスがあるって言う事なワケで。で、その柏キャンパスに存在するのは新領域創成科学研究科ってのがミソだと思う。それこそ、個人的においらは興味を持ったのはこの部分なワケで。

 本研究科を構成する基盤科学、先端生命科学環境学の各研究系に共通する特徴は、既存の個別学問分野から派生する未開拓の領域を研究・教育の対象としていることです。未開拓の領域に果敢に挑戦するため に、本研究科は「学融合」を基本理念に、教育・研究体制を構築し、研究科を運営しています。
研究科の趣旨■6/20確認 東京大学新領域創成科学研究科
 平たく言ってしまえば「まだ学問的によく分かっちゃ無いものに対してアタックをかける大学院」って言う所で、って言う理解でよろしいか?<関係各位(謎) それこそ、今のこんがらがった世間、特に科学技術分野からのアプローチを考える場としての持つ意味、と言うか、それこそ「地域資質」としてはかなり大きなインパクトがあるって思うワケで。実際、他の大学でも色々とやっている所はありますし、COEに指定されているって言う所もあるかとは思うんですが、この柏キャンパスとTXのタッグ、正直言って最強です。つーか、叶わない。文化的資質って言うものもあるんでしょうけど、それ以上に数理的位置って言う部分から見て。
 実際に「つくばエクスプレスみらい平・いちさと推進協議会」のウェブページを見ると沿線各所で鉄道整備と同時進行で様々な区画整理を行っていて、魅力的な地域作りをするような方向性を示している。確かに東急に代表されるような沿線の「雰囲気づくり」によって成功を収めた所も多く存在するし、民間事業者による事業実施そのものを否定するわけではない。だが、問題として存在するのは「地域におけるグランドデザインはぶっちゃけどうなのよ?」って言う所。で、注意すべき点はこの「グランドデザイン」がどこに依存しているのか?って言う部分になってくる。言葉は悪いが「千葉都民」や「茨城都民」に依存した地域のグランドデザインになるのか、それとも「千葉県民」「茨城県民」それぞれが自分自身の手で富を生み出す事が可能なグランドデザインになるのか、って言う所になるのではないかと思う。
 本来ならば雇用統計等に当たって論じるべき部分であるかもしれないが、感覚的に言ってしまえば「正直、どうなのかなぁ?」って思う部分があったりもする。確かに地域の良さを活かした「まちづくり」そのものは出来るかもしれないし、自然が多くある地域に住み、仕事は都心で・・・って言うのはある面好ましいライフスタイルであるのかもしれない。だが、これがおいらあたりが退職する事になる30年後どころか、俗に行く団塊の世代が退職を多く迎える2007年以降に「税収の低下」って言う事態が発生してしまい、地域そのものが維持できなくなってしまうのではないか?って言う恐れもあるのがまた事実だと思うワケで。
 確かに若年層(まぁ、おいら位の年齢層になるかと)の居住を何とか増やして住民税収入を維持するって言うのも一つの方向であるかもしれないし、ショートレンジの施策としては確かにOKかもしれない。だが、これがロングレンジになった時に一体どうなのよ?と言う所も存在する。ある種、このTXの試みは面白いし、モデル化する事ができれば最強になるかとは思うのだが、これが地域との繋がりって言う事で言えばどうなのかなぁ・・・って思うわけで。
 で、何でこんな事を考えるのかと言えば「地域における労働市場」の問題ってのがある。もう一度千葉県の資料を見直してみると・・・

II 都市再生プロジェクト「東京圏におけるゲノム科学の国際拠点形成」※や新産業創出特区※(構造改革特区)等を活用し、産学官連携による産業クラスターの形成促進や新規成長分野を開拓する関連施策を展開します。
東京圏におけるゲノム科学の国際拠点形成〔産業振興課〕 再掲事業(戦略プロジェクト1)
○ 知的資源、産業集積を活かしたIT関連産業振興〔産業振興課〕 再掲事業(戦略プロジェクト1)
○ 東葛テクノプラザにおける起業・研究開発支援〔産業振興課〕 再掲事業(施策24)
○ 東葛飾北部地域における産学官連携による新産業創出拠点の形成 〔企画調整課、産業振興課〕 再掲事業(戦略プロジェクト1)
○ 留学生、外国人研究者等と一体となったコミュニティづくり〔企画調整課〕
 って言うように、ゲノム科学の国際拠点の形成やIT関連産業振興って言うのがあるんだが、果たしてこの「ゲノム」や「IT」って言った領域における労働市場が形成され、地域における産業となりうるのか?って言う部分が個人的には気にかかる。それこそ「生き馬の目を抜く」ような競争の激しいゲノム領域に関して言えば、研究者そのものの雇用は少なくとも国内だけとは限らないし、同様な施策展開をやっているのは何も千葉県だけじゃない。その道では有名な神戸市だってそうだし、一応は静岡県でもやっているw。そんな中で「絶対的に優位な部分は何なのか?」って言うものを地域が持たなくてはならないって言う部分もある。また、たとえ行政が必死になってやったとしても、企業はあくまで企業の論理で動くって言う事も忘れちゃならない。こんなケースもある。

医薬製剤工場の統合について
  旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:中岡靖晶)は、現在二ヶ所に分散している製剤工場(神島医薬工場:静岡県伊豆の国市および名古屋医薬工場:愛知県西加茂郡三好町)を、名古屋医薬工場に統合することを決定しましたのでお知らせします。
1. 経緯
 (1)当社では、厳しさの増す医薬品業界の中で生き残りを図るため、構造改善を推進しており、このたびの医薬製剤工場の統合も、その一環として位置付けています。
 (2)当社の製剤製造上の問題点
  a)現在、当社の製剤工場は、経口剤を生産する神島医薬工場と注射剤を生産する名古屋医薬工場があり、両工場とも外部委託に比べコスト競争力上の課題を抱えています。
  b) 神島医薬工場では、排尿障害治療剤や抗うつ薬の生産量が伸びていますが、今後操業を継続していくには老朽化対策等、建物および設備の更新に多額の投資が見込まれます。
2. 決定事項(対策)
 上記の問題点の解決策として、神島医薬工場を2008年9月末に閉鎖し、名古屋医薬工場に製剤化工程を集約することにより、経口剤や注射剤のコスト競争力を一層高めていきます。
3.神島医薬工場従業員への影響
 (1) 神島医薬工場従業員約60名のうち、約20名を名古屋医薬工場に配置転換し、約40名を旭化成グループ全体で再配置します。
 (2) 退職希望者に対しては、「特別転進加算制度」を適用します。
医薬製剤工場の統合について■6/20確認 旭化成ファーマ株式会社 プレスリリース
 実際、R&D機能を持っていたかどうかは中の人ではないのでよく分からない部分もあるんだが、このような形で企業が撤退するって言うのは十分に考えられる訳で。これはどこでも同じような条件を持っているって言うのもあるし、そこには「企業の論理」があるワケで、仮に地域の中に当該分野に係る労働市場が形成されたとしても、こんな感じでシャッフルされてしまえば水泡に帰すって言う所もあるんだよなぁ・・・。正直難しい部分があるワケで。まぁ、この工場閉鎖に関してはゲノムとは正直関係ないけどな。
 少なくとも、5年や10年って言うショートスパンで物事を考えちゃならないって思う。20年や30年って言うロングスパンで地域を考え、必要なタネを蒔いていくって言う考え方が必要になると思う。いや、20年や30年じゃ足りないかもしれない。浜松の集積だって100年近い年月をかけてここまで育ってきたワケだし、その背景には100年どころか300年位遡る文化の蓄積が存在して初めて成り立ったものがある。
 そう考えると、自分で自分の存在価値を否定する事になってしまうワケなんだが、行政機関が地域を創るって言う発想がどこか烏滸がましいものがあるって言うような気がしないではない。しかし、かと言って「なすに任せよ」では、貴重な財源をいただいている意味が無いワケで。少なくとも頂いた分はサービスでお返しして、それ以上の付加価値を生み出す事によって地域に「収益」をもたらす事が可能になるって思うわけで。
 少なくとも言えるのは、TX開業って言う絶好のチャンスを活かしながら周辺地域との連携を保ちつつ、自律的な地域をどうやって創造していくのか?って言う所じゃないだろうか。そんな中で都市間連携って言う考え方は必要だと思うし、駅を核とした地域作り、何よりも「住んでみたい」って思わせるような地域作り〜ハードだけではなく、コンテンツも〜トータルで整備していく必要があると思う。
 正直、これから先が楽しみな地域だと思います、掛け値なしでTX沿線は。