静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

創造都市or地域の条件

 国際交流基金さんからのお題のようなもんですが、思うところを書いてみます。下手な話ですが、お読みいただければ幸いかと。
 
 まぁ、おいらも一応は社会人やっているだけに、色々と自分の事は棚に上げて「こりゃどうなっているんだぁ」みたいな事を言っておりますが、やっぱり気になるのは「地域」ってもんの存在です。裏では色んなアホな事をやらかしていますが(笑)。
 地域の特色って一体何よ?って言う事を考えるとき、どうもおいらは商工畑な人間なだけに「どんな産業がその地域に根付いているのか」って言う事をまず考えてしまいますが、最近思うのは「ただ単に産業や経済を活性化させても意味ねぇだろ」って言う所があるんですわ。変な話ですが、同じような産業を全国各地でやった場合、どこに企業が集中するのか?って言う事を考えれば、やっぱりそれは様々な情報が集中している所になるわけで。まぁ、その「情報」って言うのがその業種に関する専門的な情報なのか、それともまた別の販路とか言う情報になるのか、って言う事で話は違ってくると思います。とは言え、同じような事をやった場合、基本的には様々な集積がある所に企業とかが集まってくるんじゃないのかな?って思うんですよね。まぁ、当たり前の話ですが。
 そんな中で「オリジナリティ」って言うものを考えてみると、やっぱり「その地域に存在するリソース」って言うもんを大事にして行かないとならないのではないの?って言う所に収斂するんですわ。ただ、問題はそんな「リソース」を誰が見つけるのか?なんですよね。少なくとも、地元の空気にどっぷりと漬かった人間にはなかなか見えてこない(完全に見えない、という訳ではありません)訳ですし、往々にして「外部でどんな事例があるのか」って言う事ばっかり追いかけてしまう。果たして、それでいいのかなぁ?などと思う訳で。結局、それをどうやって乗り越えていくのか?って考えたときには「外部の視点をどうやって内在化させるのか?」が重要になってくると思うんですよね。
 外部の始点って言うだけならば正直簡単ですし、何かの委員会で「はいはい、ご意見ごもっともごもっとも」って言うように形式的に聞いていれば済むんだと思いますよ。けど、それじゃ正直言って「mottainai」って思う俺がいるのは気のせいでしょうか?どうせやるんだったら、一緒に入ってやって行こうよ、そんな日々の生活の中で「何かを作り出せる」って言う空気がある地域って言うのは正直言って強いと思うわけで。

 そのいい事例が浜松の事例なんですよね。元々綿織物があったところに機織とかの機械産業の素地があった。そこに、山葉や河合と言う外部の人間がやってきて(山葉は元々和歌山の人です)、浜松に楽器産業が誕生した。そして、楽器産業から様々な産業が誕生したって言う歴史を持つわけで。
 その連関の中で機械産業だけではなく金融と言った「支援産業」も生まれてきたわけですし、色々と見ていくと地域の中でこじんまりとやっているより、「様々な人を受け入れる」地域がこれから先生き残っていくと思いますし、外部がもたらす「知恵」を地域の中で共有できるような地域を作る事が一番大事なんじゃないのかな?って思います、って言うか、そのような基盤を持つ都市を「創造都市」(個人的には「創造地域」って言いたい所なんですけどね)って言うのが一番ふさわしいんじゃないの?って思うんですわ。
 そんな中でアートとの関連を持たせるって言うのは一つの方法であって、決して「創造都市=アートによる都市or地域づくり」じゃないって思うんですよね。「自分のまちを外部から見た場合どう見えるのか?」って言う視点を内在化している人が、「自分のまちを好きで好きでたまらない」って言う想いを抱くようになったとき、それが「創造都市or地域」の始まりだと思うんです。


「福岡の中でも天神という街は常にダイナミックに変化している。そして街の中には、例えば『交通の便利をよくしよう』『流通をもっとよくしよう』など、それぞれに命をかけて一生懸命働いている人たちがいる。私は、そういう人たちに感動し、その感動を演劇で伝えているつもり。だって、自分が住んでいる街のことを全然知らないって、もったいないと思いませんか?日々通っている天神は、家と会社の往復だけだが、例えば通勤で使う電車には泣ける話があるし、駅やデパート、新天町などにも語り尽くせないストーリーがある。そうした話を知っている方が、楽しくなるし、街を身近に感じることができる。せっかく住んでいる街なのだから、その街の魅力をみんなで再認識して欲しい。私たちは、実は街から恋をされているようなもの。例えば、お店は『あの人は、どんなものを置いたら買ってくれるのだろう』とか交通なら『どういうサービスをしたら乗ってくれるのだろう』というように、私たちは、それぞれから愛されている。だから、たまには、その思いを受けて街に『ありがとう』って言ってもいいんじゃないかと思う。毎回いろんな題材で芝居作りをする中で、どれか一つのキャラクターを好きになって帰って欲しいと思う。そして、何か一つでいいのでその人と街との繋がりのきっかけになってくれたらと思う」
■自分の街について「何も知らない」のはもったいない 天神経済新聞 5/25確認
 id:sa-50さんの所に書かれていた「ギンギラ太陽's」の主宰者である大塚ムネトさんのインタビューなんですが、こんな人が多くいるところ、そして、こんな人が誰にも邪魔される事なく活動できる、いや、あまつさえ受け入れるような懐の深い都市or地域こそ「創造都市or地域」って言うことができるんじゃないのかな?って思います。