静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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一つの答えとして。

 いつも読んでいる「とれいん工房の汽車旅12ヵ月」さんのエントリで「雑記 ツアーバスを規制するにはどうすればいいのか。」と言うのがある。なかなか鋭い内容で書かれているので「なるほど」って言いながらいつも見ている訳なんだけど、何か最後には「公的機関がしっかりしなくちゃならない」と言うような解答に持って行っている訳で。


 でも、ならば、どの会社を選択するのか。どこが安全なのか。交通機関を判断する基準となるデータを誰かがきちんと提供して欲しい。それをやるのは公的機関の仕事だと思う。何を選べばいいのか、何に気をつければいいのか。規制緩和していくなら、そうした判断材料を整備していくことが最低限の条件だと思う。それでWILLER TRAVELが意外にイイ評価を得るのかもしれない。ならば「安全っていうのはイコールお金がかかるということではない」というのは真実になりうる。
雑記 ツアーバスを規制するにはどうすればいいのか。■とれいん工房の汽車旅12ヵ月 (9/17確認)
 う〜ん、どうなんだろう。あくまでも個人的な見解としては「公的機関がそこまでやる事が出来るのか」って言うのはある。そもそもツアーバスと高速バスの違いは

旅行業法第二条第一項及び第二項に規定されている「企画旅行」であり、バス会社と利用者の間で直接運輸契約を締結するものではなく、旅行会社と利用者の間で旅行サービスの提供に関する契約を締結するものになります。ちなみに、路線バス(=高速バス)に関しては道路運送法(昭和二十六年六月一日法律第百八十三号)第二章がその法的根拠になります。」
ツアー 全力でつ(ry
 と6/12のエントリで書いたように、同じ国土交通省の管轄するものであっても法的な根拠が全く違う。そうなって来たときに「企画旅行」と言うフレームで枠を捕らえる事が出来たとしても、「ツアーバス」と言うその中の更に小さいフレームで枠を捕らえる事が出来るかどうか、と言うのは正直な話難しいと思う。大手(と言うのには語弊があるかもしれないが)が運行している「ツアーバス」なら何らかの形で事故率とかの数字を出せるかもしれないが、それこそいわゆる新免のバス会社までのデータを取る事が出来るのか、と言われれば正直無理なのではと思う。
 ならば、一体どんな形で「ツアーバスを規制するのか」と言う事を考えると・・・正直に言えば現状では規制は出来ないと思うし「ツアーバス」に代表されるような「地点間移動の企画旅行商品」全体に網をかけると言う事を考えると、いわゆる「格安航空券」や「ぷらっとこだま」のような旅行商品の造成も出来なくなってしまうと思う。そうなってくると、後はユーザーの意識に頼るしかないだろうか。ただ、個人的には「ツアーバス」そのものの否定はしない。「ツアーバス」と言う競合相手があったからこそ、東京関西間の「ドリーム号」の多様なサービスの提供が広がったと言うものもある訳だし(例:プレミアムドリーム号や青春ドリーム号と言った幅の広い価格や、早売5と言ったネットの特性を活かした運賃設定)。
 ただ、「何らかの形で情報開示を行う」と言うのは非常に大事な話であるのは間違いない。例えばこのページなんかを見て欲しい。JRバス関東のページではあるが、実際にどのような仕事をしているのかと言う事を紹介しているページ。パッと見ただけでは「マニア向けのページじゃね?」と思われるかもしれないが、「このような取組みで日々の運行をしています」と言う情報開示を行っている訳で。このページに付随させて事故率とか遅れ率(自社の責任による運行遅延時間の率)とかの数字を開示させる事は可能だと思うし、むしろこのような形で「細かい情報」をマイナス情報を含めて開示できると言うのが「一つの安全性を計る基準」になるのではないだろうか(まぁ、JRバス関東のような大手企業だから出来ると言う指摘はあるかとは思うけど、それはそれとして)。
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 とまぁ、ここまで書いてきた訳なんだけど、色々と考えてみると「バス会社」と言う業界だけではなく、ごくごく普通の企業としてどうなのか、と言う本当に当たり前の事になってくるのではないかと思う。
 短いながらも2年半の間、自分自身今の会社で「融資審査」のまねごとっぽい事をやっていますが、やっぱり成績の良い会社って言うのは「売り上げ」以外に色々と見るべき所がある訳で。例えば5Sをしっかりやっているかどうかとか、人件費の中で役員報酬と賃金の比率がどうかとか、現場の方がしっかりと挨拶出来るかどうかとか。本当に「当たり前の事を当たり前かつ真摯にやっている」企業はそれに見合った成績(売り上げの高い少ないではなく、全般的に見た場合の評価として)をたたき出しているし、投資内容もそれに見合ったものだなと判断できる訳で。逆にどこかいい加減にやっている企業は「話を聞いても何かを隠しているなぁ」と言うものを感じ、上司に「この部分は問題だろ」と言う事を内部の打ち合わせ時点で見事に指摘されると言うのがあったりする(いや、それ以前に判断つかなくって上司に相談してみるとか)。
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 行政機関が法律の壁で「まとめサイト」をつくる事が出来ないならば、結局はユーザー一人一人の判断で見る事が必要になってくると思うし、その「判断材料」を提供できる企業か否か、と言う事が一つの方向性になってくるのではないか、と思う所である。何か後ろめたい事があれば隠したい、と言うのは企業だけじゃなくて個人にしてもそうだし。