静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

事業仕分けの名の下に。

 おいらの研修先の事が色々と議論されて居るみたいで。本当だったら先にやるべき事があるのだとは思うのですが、個人的に承服しかねるような話があるので書いておく事にします。
 なお、いつもの通りにお約束ではありますが、この意見はBlogの中の人の勝手な意見ですし、コメントとか頂いてもそれに対して反応がすぐに出来ない状況であること、を予めご了解の上読んで頂ければと思います。


地方自治体、商工会議所、民間研修機関等で実施すべきではないか。「中小企業大学校」 は廃止。
●そもそも研修については民間で代替可能。とりまとめ等についても、商工会議所など民間や自 治体が行うことができる。施設等をすみやかに国に返還すること。
●基本的に民間からの供給で十分。ただし、民間からの供給がないところは、自治体等の関与 を含めた運営を検討すべき。
●機構は、民間・自治体に必要な支援をすることが適切と考える。
●受講者に必要に応じて補助金を出せばよい。
●中小企業の支援は大事だが、この方法が正しいのか。民間の研修機関に通う授業料を補助する、地方の自治体や民間に委託する等検討すべき。
●施設の運営による研修が中心になっている。同じ金(予算)をかけるのであれば、自治体への 交付金で行うべき。建物・土地を売却すべき。
●コースを見直し。各自治体を通して民間に委託。
●研修事業はできるだけ早く完全な民間及び自治体へ移管。当該独法はカリキュラムの作成・ 研修主体の選定等に限定。
●民間のプログラムを受講した受講生に補助を与える仕組みとすべき。今の仕組みでは、ごくごく一部の中小企業が利益を独占することになる。
●官である必要のない事業である。
●民間や自治体に開放してより多くの中小企業・労働者とアクセスできるようにした方がいい。
●資産の処分も含め検討すべき。
●中小企業研修によって、現在の中小企業経営者が抱えている経営問題が解消されるわけではない。この事業によって真の問題解決に近づくわけではないのに、持続的に国費を使っていくことは出来ないので、政策効果としては限定的である。
●自前の施設を持つ必要がない。
 問題はその受け皿となる「地方」がどれだけの余裕があるのか?って言う所だと思います。
 当然ながら地方の財政事情はその自治体によって全く違いますので、リソースの有無って言うのは実際大きな問題になってくるでしょう。その部分を一体どうやって解決するのか?って言う所に言及してないのが不思議な所だったりするわけで。受験予備校もそうなんですが、東京や大阪と行った市場規模が大きいところでは先生の生講義があるのですが・・・静岡のような地方都市では「衛星回線」でやるかDVDでの講義しかない訳で、既にその段階で「地方」と「都市」の格差が固定されています。そんな中で「地方に任せる」と言ったときに、「何とかしたい」と思う志を持っている企業の方が知識を得たいと思っても、「距離」と言う壁に遮られてしまって、その「想い」を果たせなくなる事が余程問題なのではないでしょうか。それが独自技術を持っている企業であればなおの事でしょう。
 確かに「本気でやりたいと思うのなら東京でも大阪でも出て来いよ」って言う事は言えますし、自分の場合には幸いにして静岡と言う「往復4,500円」と言う立地条件になっているのですが、誰もがそんな状況ではありません。自分の同期には北海道の人もいますし、沖縄の人も居ます。そんな「地域切り捨て」をする事がこの国の中小企業にとって良いものであるのかと言えば・・・それは自分自身の「いま正に経験している」ところからして「良くない」と言い切る事ができます。
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 極端な事を言えば、色んな「ノウハウ」は買う事が出来ます。M&Aとかヘッドハンティングとか。ですが、何よりも大事なのは「何とかしたい」と言う想いと、その「想い」に応える事が出来るような仕組みです。その仕組みに「想いがある人」がアクセスできるよな仕組を提供するのは(機会平等的な意味で)、それは国の役割であり、自分の研修先が存在する意味だと思うのです。その部分を一切考えずに「効率性」と言うもの〜確かにそれはロジカルなものではありますが〜と言う尺度だけで判断するのは、余りに性急です。
 自分のようないわゆる「支援機関職員」の立場として言えば、確かに我々自身のノウハウやスキルはもっと高めなくてはならないと思いますし、自分も「ノウハウやスキル」を学び、それを武器として使いこなすために日々訓練をしているところです。正直「法的制度の縛りの中でしか動けない」事は苦々しく思う部分もありますが・・・それは「何を貢献領域として見るのか」と言う事を考えれば逆に幾らでも使いようはあるところです。
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 あと、言えるのは「ネットワーク」です。
 同じ地域の中でネットワークを組むと言うのは確かに必要です。ですが、競合が発生しない範囲において「ネットワークを組む」と言うのは正直アリでしょう。その中で様々な「気付き」が生まれ、「気付き」の中から学び、前に進めて行く事も出来るわけですから、回り回れば個別企業の成長ではなく「地域全体の成長」に結び付くのではないでしょうか。その部分の観点が完全に欠落していると言うのも正直「どうなんだろう」と思う所があります。
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 確かに冷静な観点からの「事業見直し」は必要です。行政だってPDCAサイクルを回さないとならないですし、そのPDCAサイクルは常に上昇のスパイラルを描くようなかたちにしないとならないですから。ですが、その対案となる「上昇のスパイラル」を描く別の方法を対案として出してないこと(それが中小企業政策全体の見直しだっても構いません)の方がもっと問題なのではないでしょうか。
 正直、今後どのようなって行くのかが気になるところです。