静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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高速おたる号(札幌駅→小樽駅)

 札幌まで忘年会に行った月曜日、帰りのフライトの時間まで結構時間が空いていたので「さて、どうしようか」と言うことになった。そう言えばまだJR北海道バスの高速バスって乗ったことが無いんだよね、と言う事実に今さらながら気付き、チェックインの時間まで安全に乗れる路線は・・・という事で探してみると「札樽高速線」があるのに気付いた。

 札幌駅から小樽駅まで札樽自動車道経由で約1時間程度。それだったらちょっと小樽まで行ってみましょうか、と言うことで気楽に乗ってみた。
 手元にあった快速エアポートの指定席を小樽からのに乗車変更し、札幌駅バスターミナルに向かうと既に待っていた。初めは9:25発の便に乗車する予定ではあったものの、時計を見るとまだ9時前。よく見れば「北大経由」と出ている。時刻表をよく見ていなかったと言うのもあるが、JR便なので乗ってみることにして、乗務員さんに「小樽まで」と告げて乗り込む。
札樽道銭函付近で事故があったみたいで、一般道経由になるかもしれないけどいい?」
「いや、別に構わないですよ。」
と言う事で財布からお金を払おうとすると
「いや、降りる時で結構です」
・・・やれやれ、すっかり本州、それもJRバス関東JR東海バス東名高速線(とその関連系統)にすっかり体が慣れてしまっているようだ。車内を見るとおばあさんが一人だけ。これから小樽まで行くのであろうか、などと考えている間に出発。

バスは北大前へと市内を走っていく。道路は日曜日に降った雪ですっかり真っ白になっている。前日には札幌市内を色々と見て回ったが、雪に足を滑らせてしまって何とかバランスを取っていただけに「こんな雪なのに大丈夫なのかなぁ」と思って見ていたが・・・流石北海道のプロのドライバーさんは全く違う。圧雪になっていてもしっかり走ってしっかり止まる。ただ、見ていて感じたのは赤信号の随分前からブレーキをかけて確実に止めるところだろうか。
北大前を通過し、北大病院前で「とまります」のランプが付く。え?高速バスなのに何故?と思ったのだが、この「高速小樽号」は札幌市内ではクローズドドアになっていなかったのだ。それだからこそ、運賃表を見ると「200円」と言う表示が出ていて、おばあさんが車内に座っていた訳だ。そのおばあさんが降りると今度はおじいさんが乗って来る。高速バスなのに高速バスらしからぬ風景に「こんなバスもあるのか」と思った。
北24条駅前を通過して北34条駅前で北大病院から乗って来たおじいさんが降車し、今度は小樽へと向かうビジネスマンが車内に乗り込んできた。都合10名も居ない車内である。高速道路には「札幌北インターチェンジ」から入る。路肩に残る雪を眺めながら本線に駆け上ると

目の前には雪を被った山〜多分手稲山だろうか〜が迎えてくれた。雪晴れの空。多分こんな光景を見たかったのかもしれないなぁ・・・なんて思っていたし、そんな見たかった風景を眺めることができて嬉しかったのだと思う。

学園都市線こと札沼線の電化工事済の区間を眺めながら進むと、車窓には発寒から手稲付近の住宅街が広がる。同じ朝の光景だけど、静岡や東京では見る事の出来ない「何か」を感じるのは確かなところである。その「何か」は上手く言葉にはできないが、そこにある「暮らし」とか「歴史」とかが渾然一体となっているのでは無いか、と思う所ではあるが。やはり、この「高速バスの旅」はそんなものが車窓から感じられるのがたまらないし、そんな部分が大好きなのではないだろうか。

そして、札幌行の便とも頻繁にすれ違う。この「高速おたる号」はJR北海道バスと中央交通バスが共同運行しており、下手をすれば15分おきにも満たない時間で運行しているだけに、本土で言う所の高速バスと言うよりも九州の小倉天神間の路線に近い感覚を受ける。札幌行の便は満席に近いお客さんを乗せて走っている事も併せて考えれば「札幌」と言う都市の規模や中心性というものが分かるのかもしれない。

この路線は途中のバス停(2カ所しかないが)にも停車する。まずはこちらの「見晴」バス停。この日はこのバス停からの乗客は無かった。また、トイレが付いてない便で運行していたためか、途中のPAにも「トイレ行きたい人が居れば入ります」と言う案内があったが・・・流石に居なかった。

しかし、風光明媚、とまでは行かないが車窓からは日本海が見え(ちなみにこの区間を並行している国道は「オロロンライン」。何かこう、羽幌の方まで行きたくなってしまいますよね)たり、山合を橋で抜けたりなど、結構車窓は見ていて飽きる事は無い区間である。帰りはフライトの時間もあったので快速電車で帰ってきたが、この区間はなかなかの絶景だと思うし、それこそ「張碓駅」と言う北海道の鉄道線の中でも有数の秘境駅がある区間なのだから。

そして、幾つかのトンネルを抜けると小樽の町はもうすぐそこ。ここまでたった40分程度と言う短い時間。

高速道路を降りて市内を走ればもう小樽駅。値段は札幌から690円と言うかなり安い運賃。まちがあり、山があり、海もあり、と短い時間の中で様々な風景を楽しめるのがこの「高速おたる号」なのかもしれない。

到着後は小樽運河を眺めたり、小樽のまちに残る歴史的な建造物を見て過ごすのもまた楽しいですし、寿司でも食べるのもいいかもしれません。私は結局ワインを買って市内を歩いて帰ってきてしまっただけなんですけどね。それでも、「何で【小樽】がこんなに有名になったんだろう?」という事が何か少し分かったような気がしました。実際には前職の時に添乗員として来て歩いた事もあるのですが・・・まぁ、やっぱり一人で歩くのがいいかと思った所です。
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2010年12月13日乗車 JR北海道バス 小樽営業所 644-5822号車 「高速おたる号
元々「高速おたる号」は特急列車や石炭輸送列車でダイヤが逼迫していた函館本線の代わりに国鉄バスが運行していた「札樽線」がその前身でした。今でも一般道経由の路線もあり、朝は小樽から札幌直通の快速バスがあったりとか、小樽駅から地下鉄宮の沢駅を結ぶ系統もあります。いや、すれ違ったはずのバスが

こんな感じで一般系統に間合い運用で入っているのは驚きましたが。