静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

河口湖〜静岡線 静岡駅→富士急ハイランド


 静岡市内から発着している高速バス路線の中で、まだ一度も乗ったことがない路線がありました。それは、富士急山梨バスが運行している「河口湖〜静岡線」と言う路線です。季節限定の週末運行、それも行き先が富士急ハイランドと言うことですと、なかなか乗りに行く機会がありません。
 とは言え、そろそろ東に行くにも西に行くにも飽きてきた頃なので、「えいやっ」という事で乗りに行きました。正直、今回は写真が多いですので相変わらず折り曲げておくことにします。

 静岡駅の朝7時少し前。結構いろんな路線を見ることができます。東名高速線の東京行や名古屋行はもちろんのこと、渋谷・新宿ライナー静岡号や国道1号線には駿府ライナー、そして三宮から夜を徹して走ってきた京阪神ドリーム静岡号。そんな中にやってくるのは

 きかんしゃトーマス・・・じゃなかった、富士急山梨バスが季節限定&週末限定で運行している河口湖行。静岡市内と山梨県内を結んでいる唯一の高速バスです。昔はそれこそ国道52号線経由の静鉄バス「信玄号」と言うのもありましたが、今ではこの系統1本だけです。その目的は明らかに河口湖との都市間輸送ではなく、静岡から富士急ハイランドへお客さんを送り込むだけの便です。

 どこからどう見てもきかんしゃトーマス。シートまでもトーマスという徹底っぷりはもう脱帽せざるを得ません。他にも都内から河口湖を結ぶ系統には「ええじゃないか」や「ガンダム」と言った富士急ハイランドにあるアトラクションのPRも兼ねたラッピングバスも走っています。今までは見ていただけなのですが、実際に乗ってみると「こりゃすごいわ」としか言いようがありません。実際に乗ったのは自分を含めて7人と言う数字。女子高生の友達連れらしき4人組、デートと思わしき2人、そしてマニア1人(笑)。いや、世の中なんてそんなもんです。ちなみに、バス車内でも富士急ハイランドの入場引換券(になるのかな?)と往復割引きっぷが買えるので、自分以外はそのきっぷを買っていたみたいです。確かしばらく前までの運行では「高速バスネット」で購入できたのですが、今では「発車オーライネット」だけでの購入となっています。まぁ、当日購入でも多分大丈夫だとは思います。
 
 バスは静岡駅を出ると、夜行便の「フジヤマライナー」と同じ経路を通って静岡インターに入ります。静岡インターの手前では、しみずライナー6号になるべく折戸車庫へと回送になるJR東海バスも見えたりなど、普段は静岡インターから入る高速バスに乗ってない人間には新鮮な光景だったりするのです。

 今回は柄にもなく「添乗員席」やら「ヲタ席」とか言われる1AB席に座ったのですが、これが結果として大正解。冬の朝にしか見る事ができない富士山をくっきりと眺めて行くことができました。静岡県民でもこの富士山のきれいっぷりはなかなか見ることができませんよ。と言うわけでこの乗車記は「富士山を眺める」乗車記になりました(おいおい。
 静岡インターから入ると、真正面に最初に見えるのは国道1号線バイパスをくぐったあたり。手前にまだ山がありますけどね。そして、さった峠をトンネルをくぐった後で正面に駿河湾を置いて見える富士山です。ここの富士山も大好きなのですが、由比〜蒲原付近で一番大好きなのは

 この、東名蒲原付近の高台から眺める蒲原の町並みと駿河湾の眺めです。特にこのような感じで雲ひとつなく真っ青な空と海もまたいいですし、伊豆半島から昇る朝日を車窓から眺めるのもまた最高です。それもこの冬の澄み切った空気の中で見るのがまたきれいなんですよね。そして、朝の光が差し込んでいる車内。この風景が好きで乗っているというのがあったりします。ですが、富士山を眺めるのならばここではなく、蒲原トンネルを抜けて・・・

 真正面に見えてくる富士山はこれまた最高です。冬の富士山もよし、桜のトンネルの中を駆け抜けていくのもよし、そして新緑や濃い緑の中を抜けていくのもまたきれいな眺めです。だからこそこのへんには時々写真を撮りに来るのですけどね。さらにバスは進んでいき

 富士川サービスエリアから坂道を右に曲がりながら下って富士川橋に入って行く時に正面から車窓左手に見えていく富士山もまた雄大です。ドライバーさんも今回は気さくな方で、車内に「正面に富士山が見えますが、頂上のあたりに雲が出ているように見えるでしょ。あれは山頂付近で風が吹いていて雪が飛ばされているんですよ」という案内もしてくれるなど、色々と案内してくれました。いやぁ、やっぱり観光路線なんですね。
 で、気になったのはどうやって河口湖の方へ回るかだったのです。河口湖へ向かうには富士インターから西富士道路〜富士宮道路を抜けていく「朝霧回り」と、御殿場から国道138号線〜東富士五湖道路を回っていく「山中湖回り」のルートがあるのですが(ルートの言い方は、自分が昔いた旅行会社の中で言っていたものです)、さて、今回は・・・と思うと

 富士インターで東名高速を降り、西富士道路に入るという経路でした。個人的には山中湖回りかと推測していたので何か意外と言うか、この経路はまだ路線バスで走ったことがないので楽しみになってきます。西富士道路では東京駅行の「やきそばエクスプレス」とすれ違ったりなどしていたりとか、西富士道路から富士宮道路までの間では渋滞にかかったりなど、「何かこの経路って、富士宮のお客さんの所に行く時に営業車で走っている経路だよね」なんて思ってしまったのは言うまでもありません。

 富士宮道路に入ると、勾配はさらにきつくなり、バスも登坂車線を走って普通車に道を譲っていきます。沿道の風景は静岡県内だけど静岡県内じゃないどこか違った雰囲気になってきます。いうなれば、長野とか山梨の山の道路を走っているような雰囲気と言えばいいのでしょうか。

 この路線、約3時間の路線ではありますがトイレ付きの車両では走っていません。そのため、富士宮道路朝霧区間にかつて存在していた料金所の跡にあるトイレに必要に応じて入るのですが、今回はドライバーさんからも「せっかくですから外で写真はどうですか?」と言う話をいただけたので、トイレに行くついでに写真を撮らせて頂きましたが・・・寒いっすよ、マジで。同じ静岡県内とは思えないくらいの寒さ。ですが、富士山の山頂に吹いている強い風で舞い上げられる雪の様子も見ることができました。やっぱりすごいです。

 バスは再び走り出し、仕事で少し関係している某食品工業団地の造成地を眺めたり、「あー牛さんだー!」という女子高生の声を聞きながら(笑)朝霧高原を走っていきます。そして山梨県へとログイン。ここでドライバーさんからの案内が。「手元に1,000円札を持っている人は・・・」と言うことで、本栖湖の案内をしていただいたりとか、精進湖の案内もしたりなど、どう見てもこりゃ高速バスではなく「観光バス」っていう雰囲気でした。流石に青木ヶ原樹海の案内はしませんでしたが(風穴とかの案内はしましたが)。

 そして、富士急ハイランド到着10分前くらいになると、園内での攻略法の案内もしていただけるという嬉しいサービス付き。曰く、先に人気のあるアトラクションを楽しんだほうがいいよ、と言うことと、この時期だけのイルミネーションも楽しんでいってねということ。そして、「帰りは絶対に遅れちゃだめですよ」と言う案内。さらに「帰りもこのトーマスのバスですから、乗り間違えないでくださいね」という案内も。「わかりましたか〜?」と言う案内に、他のお客さんも「は〜い!」と返していたりなど、なかなか楽しい車内でした。

 真っ白な雪をかぶった富士山と、冬の青空。そして、賑やかなきかんしゃトーマスのバス。
 富士急のバスと言えば「グリーンベルト」や「リゾートカラー」をすぐ連想しますが、この河口湖〜静岡線には、やっぱりトーマスのバスが似合うのかもしれません。「用事があって乗る高速バス」ではなく、「楽しみな時間を過ごすために乗る高速バス」なのですから。一緒に乗り合わせた他のお客さんもケータイでバスの写真を撮ったりしていて、どこかに写メでもしたのでしょうか。そんな「楽しい想い出」づくりの路線、これが富士急高速バス「河口湖〜静岡線」が走っている理由なのかもしれません。
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富士急山梨バス 河口湖〜静岡線 http://bus.fujikyu.co.jp/highw/jikokuhyo/08.html
平成22年12月23日乗車 F1902号車(河口湖営業所所属)

 今回乗車したF1902号車は、富士山静岡空港開業時に、河口湖〜静岡線の静岡空港系統に多く入っていることをみることができた車両でした。トイレも何もない、どちらかと言えば「古い」グループに入る車両ではありますが、乗った時から「富士急ハイランド」という雰囲気を感じさせてくれる車両でした。
 なかなかこの路線、お客さんが乗らないらしく、ドライバーさんも「ぜひお友達に紹介してくださいね」ということも案内放送で話しているようでした。個人的には遊園地に行く時に使うのもいいかなとは思いますが、特に今回乗車した日のように改正の富士山を眺めながら乗ると言うのもなかなか悪くないかと思います。
 関西方面から「京阪神ドリーム静岡号」からの乗り継ぎは一応可能ですが、所定ダイヤですと静岡駅での接続が5分しかないところや、京阪神ドリーム静岡号が遅れるとアウトですので・・・静岡県内の方でないと乗りにくい路線かもしれません。富士山を眺めたい、と言うのであれば、新富士駅発着の富士吉田駅行もほぼ同じ経路を走りますので、こちらもまたお薦めの路線です。
(追記)
以前に新宿西口でも撮影していました。(07/06/09)

【次回予告】
 次回は、最近出現頻度が多くなった中央道を東に向かいます。まぁ、バレバレですけどねw