静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

駐車場の強みか、地元の強みか。

 と言うわけで自分の興味関心が一番高い静岡市内の話に戻ります。と言うか、今日明日で書かないと週末は・・・ですし。またこちらも折り曲げておくことにします。

駿府ライナー」「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」経由地
Googlemapの「マイマップ」って使い慣れると結構便利ですね・・・と言う事はさておき、Googlemap上で両系統の運行経路を書いてみました。
 この両系統、行先は「新宿」(とは言っても「西口」と「新南口」で結構距離は離れてますが)と言う事で全く同じになっていますが、じっくり見てみますと細かい部分で違っています。

駿府 渋新清水
本数 15往復/日 3往復/日
運賃 最大35%引(注1) 最大25%引(注2)
駐車場 最高約60台 なし

注1:「トク割・ネット割」。月〜木の便及び座席数限定 注2:「早売7・ネット割」

 ざっくりと切り分けるとこんな感じになります。清水駅前から使う、と言う事であれば「駅前から乗ることができる」と言う事で圧倒的に「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」が有利になるのですが、実際にお客さんがどこに住んでいるのか?と言うことから考えると・・・正直「どっちを使えばいいの?」って言うところではないでしょうか。と言うわけで、まずは昨日分析した項目をさらっと。

■滞在時間
 滞在時間は明らかに「駿府ライナー」の方が長くなっています。高速バス永楽町を6:36の始発便に乗車し、新宿駅を22:20の最終便に乗車すればおおまか13時間程度の東京滞在が可能ですが、「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」の場合はおおまか9時間。おおまかに見て「しみずライナー」の時と一緒ですが。
■顧客層
 この顧客層に関しても、やはり「渋谷を経由する・しない」で大まかに分ける事ができ、「駿府ライナー」は20代後半からそれ以上が主要顧客セグメント、「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」は若年層の女性(高校生から20代)が主要顧客セグメントと見ています。このあたりは昨日と一緒なので省略します。

 その上で、幾つかの点に関して考察を加えることにします。

■駐車場の有無
 その上で、この両系統に関しては「駐車場の有無」と言う事が利用者の大きな選好要因になってくるのではないかと思います。清水駅前であれば何らかの形(路線バスなど)で向かうことができますが、やはり「乗り換え」と言うのはどんな人にとっても利用に関してのバリアになり得ます。荷物が多かったり、雨が降ったりしていればその「乗り換えによって生ずる心理的な負担」は大きくなるでしょう。現状、清水駅前にはバス利用客向けの駐車場はありませんし、永楽町駐車場・大内観音入口駐車場が無料である、という事を考えると「清水駅前に車を置いて」と言うのは余程のケースではないと無いのでしょうか。

■東京方ターミナルの話
 目的地に関しては両系統とも「新宿」になっていますが、「西口」と「新南口」は全く違うターミナルですし、乗換する交通機関を見ると「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」が発着する「新宿西口」の方が断然有利ではないかと思います。(経路的に見た場合、新宿西口の方が静岡から見た場合には手前になる)また、「新南口」は甲州街道の橋梁架け替え工事やら新ターミナルの建築やらで、今から更に遠くなって代々木駅が近いのでは?と言う場所になります。
 それを回避するために、「駿府ライナー」は池尻大橋での降車扱いを行ってはいるものの、いかんせん池尻大橋駅東急田園都市線の駅であり、都内にネットワークを持っているJR東日本東京メトロの駅に接してないので「余計に160円払わないとならない」訳で(SuicaPasmoがあればあんまり気にならないかもしれませんが。LuLuCaICOCATOICAでは乗車できないです)、細かく計算すると「都内の足代が高くなる」と言う部分が「駿府ライナー」にはあり、ターミナルの利便性では「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」に分があります。

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 と言うわけで、この両系統に関しては「お互いに+と−がある」と見ていますが、個人的には「駿府ライナー」の方が優位になっているのかな?と思っています。やはり本数の多さと無料駐車場と言うのは「色んな使い方」が出来るところですし、2月頭のダイヤ改正で15往復と言う本数になったのは、この部分に魅力を感じる利用者が多かったからでは、と思うところです。
 その「駿府ライナー」に「渋谷・新宿ライナー静岡号(清水駅前経由)」がどうやって向かっていくのか、と言うことを考えると「東京方でのアクセスの良さ」と言う所と、「自宅の近所から乗れる」と言う点を想定される顧客に対してアピールして行く事ではないでしょうか。運賃割引でお客さんを取る、と言うのは既にやっている訳で、こうなってくると結局は「お客さんをどうやって増やすのか?」と言う事しか方法は残っていないと思います。車両的に言えば「駿府ライナー」は比較的最近の「きれいな車両」が入っている一方で、「渋谷・新宿ライナー静岡号」は東名高速線に比べればまだ新しい車両が入る確率は高いものの、それでも時々は古い車両も入ってくるわけで。それこそ「36人乗り豪華化粧室付き」が「必ず」入るって言うような形に持っていくのも一つの誘客方法でしょう(ただ、コストはかかりますが)。恐らくそう簡単に行くわけはないので、「若いお客さん」にとって「こっちのバスの方が便利」と思わせるようなものを考えて行く必要があるのではないでしょうか。