静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

何に立脚すべきなのか?

この写真に何を皆さんは思うでしょうか?
ああ、こいつは豊郷行ったなぁ・・・って言うように皆さん感じられるとは思いますし、自分もネタとしてこの写真を撮ってきました。ですが、帰りの電車の中でデジカメの画像を確認している間に、この写真が何かを訴えてきているような気がしてならないのです。
そんな真面目な話も織りまぜながら、こちらのエントリの続きを進めて行きたく思います。

その目的地とは豊郷小学校旧校舎群。「けいおん!」で有名になったあの校舎ですが、個人的に有名になる以前から気になってはいました。地域にある旧来からの建物を「建て替えて地域のランドマーク的な役割として使うか」、それとも「完全に解体してしまい、新しい建物を作るか」と言う事で揉めていたと言うことがありました。そんな事もあって「一体どんな所なのよ?」と気になっていたのですが、なかなか滋賀県内に行くチャンスもありませんでした。
そこで、折角譲って頂いた青春18きっぷ、それを有効活用して行ってみたと言うのが実際のところです。

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膳所から豊郷まで行くには彦根まで出てしまってから近江鉄道に乗って行くのが一番早いと言うのは分かっていましたが、今まで近江鉄道には1回も乗ったことがなかったので、折角ならば乗ってみよう、と言うことで近江八幡から八日市八日市から豊郷とまで乗車しました。乗車した車両は西武グループと言う事もあり元々西武線を走っていた車両に運転台をくっつけたと言う車両。沿線ののんびりした風景の中をのんびりとゴトゴトゆられて行きます。八日市では

どこの岡山ですか、これは?と言うような車両にも出会いましたが。乗れるなら乗ってみたかったのですが、今回はこの車両はやって来ませんでした。まぁ、そんな感じで沿線を楽しみながら豊郷駅着。

豊郷駅はコミュニティセンターも兼ねているような駅舎に見えたのですが、この日はお休みだったようで、まちなかを見ながら以前に調べておいた経路沿いに歩いて行きます。

普通電車は1時間に2本位しか来ない時間帯ですが、新幹線はひっきりなしにやって来ます。それを見ると「ああ、確かに名阪間にあるまちなんだなぁ」と感じる事ができるのです。路肩にも雪が少し残っていたりとかしていました。駅の近所には病院もあったり、その病院のある所には歩道も整備されており、鶴と亀のストリートファニチャーも設置されていたりします。後、飛び出し注意を促す看板があちこちにありましたが・・・あれ、何かどっかでしょっちゅう見ている葱を振っているキャラクターのがあったのは気のせいでしょうか(汗。そんなこんなでのんびり歩いて行くと15分程度で到着。

早速校舎の中に入って色々と見学をしましたが、この日は映画ロケが行われていたために残念ながら2階を見る事はできませんでしたが、資料室と唱歌室、会議室はしっかりと見てくる事ができました。頂いた資料によれば、耐震工事をしてあるものの地元の篤志家が資材を投じてこの校舎を70年前に建築した、と言う事に、ただ「凄い」としか言いようが無いのが実際の所でした。それこそ、木造校舎はあちこちにあったものの(自分も一時期、と言うか小学校の一時期は木造校舎で勉強した事がありますが)、これだけしっかりとしたものが昔にあった、と言う事は「ひょっとしたらそんな事を大事にする地域の空気」と言うものが70年前にあったのではないのか?と言うように思うのです。

階段の手すりにあったウサギとカメの彫刻(なのか?)でしょうか。「これは見た方がいい」と言うフォロワーさんからの話もあったのですが、この意味する所は一体何なのか?と言う事も考えてしまうわけです。

豊郷町ではこの旧校舎に教育委員会や町立図書館、子育て支援センターなどを入居させていて、「まちの活動拠点」として活用している訳なのですが、これって言うなれば「地域資源の活用」と言うのではないのか、と思う所なのです。

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以下、固い事を書きます。

この写真に何を皆さんは思われるでしょうか?「なかなか面白い飛び出し坊やの看板だな」と思われる方もいらっしゃるでしょうし、「何を好き好んでこんな看板を街の真ん中に・・・」と言う方も居るかもしれません。また、ある人は「どんな形にしても、この町に興味を持っている人がいるんだ」、と思われる方もいるかと思います。

色んな「感想の持ち方」を持って然るべきだと思いますし、その「抱いた感想」が全員同じ・・・なん言う事がむしろおかしいと思います。自分が持った感想を率直に言わせて頂ければ「自分の仕事は何に立脚すべきなのか?」と言う問いかけがされた、と言うように思うのです。

この豊郷町が有名になったのは「けいおん!」と言うアニメ作品であり、その作品の経済効果に関しては丁度訪問していた日のこの記事で日経(web)にも取り上げられていました。記事を読んで頂くと分かるように、その内容は完全に「全国的な話」であり、この豊郷町は「聖地」と言えども「ミクロな話」ですし、少なくとも企業にとって大きなインパクトはない話だと思うのです(近江鉄道にとっては定期外利用客が増えたと言う事もあるのかもしれませんが)。

豊郷町はその「旧校舎群」と言う「内在していた地域資源」と、「けいおん!」と言う「外部からもたらされた地域資源」によって一躍有名になった、と言うことが言えるのかとは思うのですが、この駅前の風景を見るかぎり、本当に局所的なものに限定されてしまっている、と言うのが現状なのかと思うのです。確かにストーリーの中では「校舎」しか出てこないですし、その話の内容は豊郷町とは関係は無いですし、他の作品のように「地域全体で売り出す」と言うことは非常に困難だと思うのです。

これから先、と言うか確実に、「コンテンツから始める地域再生」と言うのがあちこちで起こってきます。
そのような場合に、どのように地域として対応していくのがいいのかと言うこと、そして、局所的なものであっても、その「盛り上がり」と言うものを地域全体にどのように波及させていくのか、と言う問題(この場合はだいぶ課題に近いものですが)が出てくるのではないかと思うのです。当然ですが、町の「旧校舎を地域のランドマークとして蘇らせる」と言う一つの施策は成功したと思いますが、そこから先「何をしていくのか?」と言うのが重要になってきます。

企業の業績?
地域資源
タウン・プライド?
ソーシャル・キャピタル

色んなキーワードがありますが・・・本当に何から始めればいいのでしょうか。
難しい所です。