静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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競争がもたらしたもの


 貸し切りと乗り合いのバス事業を展開する富士交通(仙台市、資本金1000万円、菊地保社長)は23日、仙台地裁民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けた。負債総額は4億7000万円。競合他社より安い運賃で乗り合い事業に参入、山形線など仙台を起点とする高速バス3路線でシェア拡大を狙ったが、競争激化で収益が伸びず、経営難に陥った。営業は継続し、諸経費の大幅削減で再建を目指す。
 同社は1980年設立で、2002年10月に乗り合い高速バス事業に参入。それぞれ仙台とを結ぶ福島線で9往復、郡山線で4往復、山形線で15往復を順次開設した。
 売上高は03年3月期で5億8000万円、04年3月期には7億3000万円を計上した。
 しかし、各路線で競合他社との値下げ競争が過熱し、低運賃による集客効果が薄れた。今年4月以降は支出超過が続いていた。
 今後は地裁の再生法適用決定を受けて、約60人いる従業員の人件費カットなど諸経費の削減を進める。貸し切り、乗り合いともに営業を続けるが、高速バスの各路線は減便される見通し。
 菊地社長は「低運賃の導入で地域の活性化に役立ちたかったが、経営が立ちゆかなくなり申し訳ない。引き続き安全運行とサービスの充実に努める」と話している。
富士交通が再生法申請 高速バス値下げ競争収益圧迫 -Yahoo!ニュース(河北新報)-
 まれに見る高速バスの競争区間だったワケなんですが、やっぱり経営が立ち行かなくなった会社が出てきてしまいましたね・・・。競争の結果、市場から敗退する事業者があるのは仕方ない事でしょうし、やっぱり根本の部分での「企業の体力」って言うものが結果としてこの結果を招いてしまったのではないでしょうか。
 ただ、個人的に「怖い」って思うのは、「運賃値下げの結果として、安全面への配慮が行き届かなくなる」って言う部分です。自分自身もかつてはバス会社(実際には旅行部門ですが)に在籍していた事があるので、それこそ「仁義なき値下げ合戦」って言うものの怖さは身に染みて分かっております。それこそ、大型バスそのものの需要が減少傾向にある最中、新規参入事業者が鬼のように値段を安く出してくる訳ですので。既存会社の営業としては「何でそんな安い値段で出せるの?」って思った事も正直しばしばです。
 ただ、個人的に思うのですが、「○○だったら○○のバスだよね」って言うような会社作りにするような部分って絶対必要なんじゃないでしょうか。経営学的な言葉で言えば「事業ドメインを明確化する」って言う部分になるのでしょうか。このケースだったら「○○がいいから、○○の高速バスを選ぶ」って言う所なんじゃないのかな?って思います。それこそ、東京大阪の場合にはJRを始めとして様々な会社の路線がある訳なんですが、それぞれの会社がそれぞれの良さを持っているんじゃないのでしょうか。例えばJRならば(最近では飲酒運転とかと色んな事件がありましたが)、サービスエリアで開放休憩があってそこで一服出来るとかって言うのも良さでしょうし(まぁ、実際に一度近鉄の夜行バスを使って開放休憩が無かったのに難儀したって言うのが最大の原因なんですけどね、私の場合。喉が渇いて仕方なかったですわ)、他の会社ならば車両やサービスがいいとか言うのもあるでしょう。そんな中で「お客さんにどうやって選んで貰うか」って言う事をやる必要があるのではないかと思います。特に、新規参入の会社ならばそれが特にあるのではないでしょうか。
 「下手なサービスはしないけど、安く走ります」って言う会社もあれば「多少運賃は高いですが、移動の時間をくつろいで貰えるようにします」って言うのを明確に出す会社もあっていいのではないでしょうか。
 機会があれば一度は見に行って見たいところではありますが、会社再生が成功することを期待しています。