静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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やっぱそうか。


郊外の大型店などの影響で空洞化が進む中心市街地の活性化策の大半で成果が出ていないとして、総務省行政評価局は15日、経済産業、国土交通、総務、農林水産の4省に、事業の評価や補助金の審査を厳しくするよう勧告する。
市街地活性化、大半が落第 補助金の厳正審査など勧告 - Yahoo!ニュース(共同通信・政治)
 やっぱりそう来ましたか・・・って言うのが本音です。与太話のなかで「7年経って今の状況じゃ、中心市街地活性化の制度って廃止になるんじゃないの?」って言うのをシンクタンク系の方やら本物公務員の方としていたんですが、見事なまでにビンゴだなぁ・・・って思うんです。
自分も「中心市街地商業活性化」って言う仕事を過去にやっていたんですが、どう見ても素人なおいらが見ても「これって、本当に実現可能性があるのかよ・・・。」って疑問に思ったり(その頃はまだまじめに「まちづくり」や「地域商業」って事を勉強してなかった)、それどころか「誰かが裏でこの計画操っていたんじゃないの?」って言うように「本当に自分たちの想いを持ってやっているのか?」って言うような疑問を持っていたわけなんです。まぁ、流石にそれを本業としていたので、表立ってそれを言うことはできませんでしたし、如何なる形であれ、一生懸命にその事業を実施しようとしている事業者の前ではそれを言うのはやっぱり憚られる部分はありました。これが、補助金助成金100%だったら幾らでも言えるんでしょうけど、総事業費の半額補助とか2/3補助って言う形ですので。確かに「事業を実施するのに、内部でゴタゴタしていたらダメでしょが」って言って、事業実施を延期して貰ったところも確かにある。

 この間書いた渋谷の話やら、昨日出かけてきた地域協議会の話、他の地域の実例って言う事を色々と総合的に考えてみると、正直言って「地域(この場合は市町村レベル)の中で、【中心市街地】と言われている地域のポジションってどうなのか?」って言う所を本当は考えるべきなのではないだろうか。
 で、その「中心市街地」に当てはまるのはどんな所なの?って言う事を考えると、下に書いてあるような区域を「中心市街地と言う」って書かれている。

区域の設定状況
中心市街地の区域を設定するに当たっては、中心市街地活性化法第2条及び基本方針において、対象とする市街地は、次の要件を満たし、都市機能の増進及び経済活力の向上を図ることが必要であると認められるものであることとされている。
1)相当数の小売商業者が集積し、及び各種事業所、公益施設等都市機能が相当程度集積し、市町村の中心としての役割を果たしていること。
2)土地利用、商店数や販売額等の状況・動向等からみて、機能的な都市活動の確保又は経済活力の維持に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められること。
3)中心市街地活性化が当該市町村及びその周辺の地域の発展にとって有効かつ適切であると認められること。
また、その規模等は、基本方針において、土地利用や諸機能の集積の実態、想定される事業の実施範囲等の観点から、一体性があり、集中的かつ効果的な取組が可能な適切な広さになるよう定めることが必要であるとされている。
中心市街地の活性化に関する行政評価・監視結果に基づく勧告 2 中心市街地活性化基本計画の的確な実施と見直し より抜粋
一応は、「その地域の中で中心となり得るポテンシャルを持っているところ」を「中心市街地」として指定する事が可能である、と言う事が上の引用部分から分かる。まぁ、実際に行政が施策として投資を行う訳だから、それ相応の投資に対するリターン〜要するに商業指標や人口指標と言った部分の改善〜が発生しなくてはならない訳で。確かに自分が「中心市街地商業活性化」の仕事をしていたときには、やっぱりその市町の中で「ここが中心地になるんだろうな」と言うような所の計画等に関して助成をしていた訳だし、実際にその場所を自分で歩いて〜大体は勤務時間外に。勤務時間内で歩いたら「本当の顔」ってもんが見えなくなってしまうんじゃないのかって思ったもんで〜自分なりに問題を把握してから話し合いとかヒアリングに臨んだって言う事もある。だけど、実際に計画を拝見させて頂いて「本当にこれ、効果が期待できるの?」と言うように思った場所や計画が幾つもある、って言うのはぶっちゃけた話実際です。
 個人的にこの施策に関して問題があると思うのは、「総合計画」との関連性って言う部分じゃないかと思います。確かに「総合計画」の中で目指すべき地域の将来像を創出するための一つのToolである、って言うのがこの「中心市街地再活性化」である訳なんですが、どうしても「中心市街地」と言うと地域住民の「想い」とか「愛着」とか言った部分が表に出てきてしまうんじゃないのでしょうか。当然、「今のままじゃ・・・。だったら・・・」と言う考え方も出てくるのでしょう。ですが、問題は「想い」や「愛着」だけで全てが解決できるって言うものじゃない、って言う部分だと思うのです。意見は幾らでも言えますし、行政機関に対しての文句は誰だって言える訳なんです。ですが、仕事をするのは「行政だけ」じゃないと思います。それぞれの立場で「どうすればいいのか」って言う事を考え、その目標に向かって行動する必要があると思うのです。例えば、商業者の方ならば「じゃぁ、お客さんがここに来て貰うようにするためには、どんな手を打たなくてはならないのか?」って言うことを考えたり、その地域に住む人ならば「今まではショッピングセンターで買い物をしていたけど、せめて週に1回は近所の商店街で買い物してみよう」って言うような事もできるでしょう。そして、その中から「この部分が足りないなぁ。だったら自分たちでコミュニティビジネス起こしてみようか」って言うような創造的な解決が図られるんじゃないのかな、って思うんです。
 件の報告を見ると「下落率が高くなっている」って言うような話が出てきているんですが、そりゃそうですよ。TMOを商工会議所が核となって作りました。けど、「調整型TMO」ですので特に自分たちで事業をしようとはしませんとか、「TMO作ろうとしたけど、全然コンセンサスの形成が出来てないです」って言う部分もありますからねぇ。まぁ、更に身も蓋もない話をすれば「高度化資金を借りるための受け皿団体としてのTMO」って言う部分も存在していますから・・・。高度化資金を借りるための団体としての役割も確かに必要です。ですが、本当に「どうにかしたい」って思うんだったら、ハードだけに目を向けるんじゃなくって、その地域に存在する「人間の営みとしての文化」にまで目を向けて、「守りたいものがあります。」と明確にその方向性を打ち出す必要があるのではないでしょうか。その方向性を実現するための機関がTMOであり、TMOの業務を遂行するためのToolとしての高度化資金じゃないかと思っているのです。
 今回の総務庁の報告は「おまーらしっかり考えて仕事しろよ」とかって言う部分を施策実施機関に対して徹底させるものであるって言うのと同時に、「地域ってもんを見る必要があるんじゃないのか?」って言う事をこの「中心市街地活性化」に携わる人間に言っているのではないか、と思っています。パフォーマンスの問題も含めてではあるんですが。