静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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It's time to say "Good-Bye" (6)

 その「ホームライナー小田原21号」の車内。
 国府津駅を貨物線で通過しているとき、窓の外に113系〜それも毎日見ている白いカバー付の椅子〜が流れた。列車番号を見ると3961Mの「回送」。ひょっとしたら今日で東京口での運用終了の返却回送(明日以降使う電車がないので、所属の静岡へ戻す回送電車のこと)なのか?と思いながら小田原着。もう少し早く走ってくれれば静岡行に接続できたのに・・・って思っていた所に、さっき国府津で見かけた電車が通過していく。


確かに、今日でおしまいなんだな。
ようやく、それが実感出来た。


 熱海で乗換、沼津でまた乗換、今日の最終ランナーの静岡行(JR東海の211系)の最後尾に陣取り、参考文献を読んでいた。そう言えば、最終の静岡始発東京行があるな・・・と思って運転台を見たところ、どう考えても「その東京行」としか思えない列車が車窓を過ぎ去っていく。闇の中に浮かぶダブルデッカーの独特の窓、そして、種別表示幕に出ている白抜きの「普通」の文字。
 今まで「当たり前」のように見ていたその列車。確かに熱海まで行けば、まだ「当たり前」のように見る事ができるかもしれない。だが、この場所を走っているのを見るのはもう・・・無いのかもしれない。「当たり前」と言う事は決して永遠じゃない。いつかは終わりが来る。
 理性では「終わって当然。ある意味奇跡だったんだ」と分かる。けど、その理性を押さえ込みたい自分。
 その東京へと走り去っていく姿を消えるまで見つめていた。そう、消えるまで。