静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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「ジャスコ富士宮」バス停雑感

 しかしながら、わざわざ「ジャスコ富士宮」って言うバス停を作ると言うのは、やはりそれなりの地位を地域の中でジャスコが占めてしまっているって言うのを象徴しているような気がします。何回か私も出かけた事はあるのですが、商店街の閑散ぶりと対照的に非常に賑わっているのを見ています。それを考えると「ジャスコまで行けば東京行の高速バスに乗れる」って言う事が来店者に分かるワケですし、東京に遊びに行って「夕飯作るのかったるいから、ジャスコで買い物して帰ろう」って言うような人を恐らく狙っているんじゃないのかな?って思います。
 新津田沼駅さんのBlogで埼玉高速鉄道の「イオン浦和美園お買い物きっぷ」の事が取り上げられていましたが、これと比較してみると、どこか共通する部分があるのではないのでしょうか。
 それは、公共交通機関とSCを結合させる事によって、公共交通機関側に「新たな誘客の可能性」があるって言う部分なのではないでしょうか。富士宮のケースでは、恐らくお店の近所の方以外は自家用車で買い物に向かうと言うのがありますが(この部分は地方都市そのものですね。ジャスコ富士宮の場合は、富士川を越えた富士川町も商圏に入っていると言います)、今まで「高速バス?それっておいしい?」って言う事を言っていた利用者が買い物に行った時に高速バスの存在を知る事によって「じゃぁ、今度東京に行くときは高速バスで行ってみようか」って言う形での誘発が可能になるワケですし。まぁ、何も東京の人を富士宮ジャスコへ誘客する必要はありませんからね。
 で、浦和美園の場合には外部から誘引するって言う方向性はあるものの、やっぱり「イオン浦和美園お買い物きっぷ」って言うものの存在で「じゃぁ、今度は埼玉高速線(地下鉄って言うのかな?)で行ってみようか」と言うようなきっかけができるのかもしれません。
 けど、地域にとってどっちが本当に望ましいのか?って言うと、正直言って自分にも分からない部分があります。新津田沼駅さんでは「きょうび、どこにでもあるイオン程度で、簡単にそれほどの集客ができるとは思いませんが、まず経営努力をするだけの価値はありそうです。」と言う指摘がされている通り、イオンごときに地域文化を創れるのか?って言うような部分は同感です。大都市の資本が地域に入ってきた所で地域資質がそう簡単に書き換えられてたまるかって思う部分もあるんですが、イオンのCMコピーにある「渋谷も原宿も羨ましくない」って言うのは個人的に引っかかる部分もあるんです。逆説的に言えば「渋谷も原宿も、やっぱ羨ましい」って言う所になるんでしょうか。「羨ましい」と思う人が居るが故に「羨ましいと思わせないような商品を提供する」って言うイオンの方向性、それがどうも目についてなりません。まぁ、田舎にあるイオンに109に入っているような店が出店してくるとは到底思えませんけどね斬りっ。所詮は劣化コピーでしか過ぎないワケでって言ったら言い過ぎか。
 今の地方都市の商店街の衰退は確かに「どうにかしなくちゃならない」って言う問題認識はあるんですが、果たしてその問題を解決すべき問題として設定してしまっていいのか?って言う所に議論は行き着くような気もしないではないです。商店における顧客の欲求充足のためにはある程度低廉な販売価格を目指すか、それともそんじょそこらの大規模小売店舗には真似できないマニアックな商品構成をするのか、って言う二者択一を迫られるって言うのが今の流れになるとは思います。実際に「マニアックな商品構成」って言うのは製造業においてはオンリーワンの技術って言う方向性になり、市場は地域内ではなく国内や海外まで・・・って言う事になるのでしょうけど、商業の場合は「オンリーワン」って言う市場を地域の中で創出するのには、地域のベースとなる市場がある程度確保されている必要があるワケで。その中で初めてニッチな商品構成が目立ってくる、って言うようになるって思うんです。
 難しい話ですなぁ・・・。