静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

色々と出てきましたな。

 大学院に通っていたころ、同級生と飲みながらこんな議論をした事があります。
 「少子化対策と高齢者福祉、どっちをメインのイシューとするか?」
 どっちも大切な政策分野なんですよね。色々と言われながらも「次の世代をどうやって育てていくのか」って言う政策を考えなくっちゃならない。だけど、その一方で高齢者の活力を活かせるような政策も考えなくっちゃならない。自分はどちらかと言うと「少子化対策」の方を考えなくちゃならないって言う論を持っていたんですわ。
 理由は簡単。高齢者は幾ら高齢者と言えども「選挙権」と言う権利を持っているし、何らかの形で社会へアクセス出来る回路を持っています。スキルがあれば、今までの給料の半額であっても仕事をする事はできますし、金銭的な面でそんなに困る事はないんですよね。(ただし、病気であるとか怪我であるとか言う理由で仕事が出来なくなってしまった人に対しては、正当にその状況を判断した上で適切な支援を実施する事は必要ですし、社会もそのような人を受け入れるようにならないと思います)ですが、「子育て」って言う事を言えば、最近のWE制度導入に関する議論であるとか、色々な環境問題とか、正直言って「一寸先は闇」のような状況にあるのは間違い無い状況で。
 そのような状況の中で持っている「社会に対する不安」をどうやって解決するのか、それは本気で様々な政策分野が考えて行かなくてはならない事だと思います。単純に福祉・厚生と言った分野に限定する事ではなく、当然教育の分野もあるでしょうし、産業の分野も出来る事があるでしょう。そんな中でトータルに総合政策として考えて行かなくてはならないんじゃないの?って思う部分があるんですよね。
 そんな中で政策の重心が移り始めるんじゃないのか?と言う事を議論していたワケなんですが、いよいよ具体的にそれが地元でも見え始めてきました。


 静岡市は平成19年度、70歳以上の高齢者に年間3000円分の公共交通機関の乗車券を配る「ことぶき乗車券交付制度」を廃止する。約2億4000万円の事業費は、少子高齢化社会対応事業で高齢者施策と次世代育成支援に活用する。
 市が交付しているのは静岡鉄道と市内のバスに乗車できるプリペイドカード。家に閉じこもりがちな高齢者に外出の機会を提供して社会参加を促そうと旧静岡市が昭和50年度に交付を始めた。
 ただ事業費は年々増加し、平成17年度の対象者は約9万5000人で、経費は2億8000万円を超えた。市社会福祉審議会は「どの程度利用されているか疑問」、市行財政改革推進審議会は「公平性を含めてその財源を有効に使うべき」と見直しの必要性を提言したこともあり、市は継続の是非を検討していた。
 廃止の理由は、交通環境と高齢者の生活スタイルが変化し外出手段が多様化していることや高齢者への一律交付が「ばらまき福祉」という批判につながっていることなどが挙げられている。また「静岡市にとって高齢者を支える次世代育成は重要な課題。高齢化と少子化の両対策を一体的、総合的に展開することが求められている」(市高齢者福祉課)とし、事業費は高齢者施策として団塊世代の生きがい対策や老人福祉センター施設の緊急整備、次世代育成支援として放課後児童クラブの緊急整備など、それぞれ緊急度、重要度の高い事業に配分するという。
 同市駿河区の女性(78)は「なくなってしまうことは寂しいが、しまい込んで使わずに終わってしまうこともあった。子どもや福祉のために役立つのであれば納得できる」と話した。
ことぶき乗車券廃止 次世代育成にも予算配分 静岡市
 言葉を悪く言えば、静岡鉄道しずてつジャストラインへの「迂回補助」って言う事も言えなくはないのですが、まぁ、それはそれで別問題として。個人的にこのような乗車券って言うのはあっていいと思います。それで高齢者の方の足が確保でき、かつ、地元にお金を落としてくれるのであれば言う事は無いんですよね。
 ですが、使い勝手って言う事で言えば「3,000円」しか無いワケですから、使い切ってしまえば「はいそれまで」って言う事になり、継続的に使う事が出来なくなってしまうわけで。それだったら東京都のように受益者負担でパスを発行するって言う形がいいんじゃないの?って思う部分もあるんですよね。静岡市内の静鉄電車・しずてつバス路線全線、JR東海道線(蒲原〜用宗間)、JR東名高速バス(東名蒲原〜東名静岡〜静岡駅)を乗れるって言う感じのが。実際、静鉄電車・バスそれぞれで60歳以上の運転免許返納者or65歳以上の方向けの全線パスってもんを売ってる位ですから。
 問題は一律交付って言う所だと思うんです。必要な人に対して多少の受益者負担を求める形での発行であるのならば「廃止」って言う方向には行かないものだと思いますし、その浮いた予算を原資にして他のイシューに資金を振り分ける事も可能ですからね。そんな中で今回の判断は「多少遅いんじゃないの?」と思いながらも必要な判断であったと思っています。