静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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最後の、旅路。-特急東海号・最後の乗車記(5) エピローグ-

 東海2号、最後の旅路はあっけなく終わった。東京駅で帰りのバスの指定を取った後、堀切菖蒲園にあるラーメン屋に昼飯を食べに行き、その後で上野公園を散策する。

 見事に満開になった桜が、青空の下で咲き誇っていた。今年は桜の咲くのが早いと言うが、昨日の湯河原と言い、今日の上野と言い、この時期に桜が満開になっているのを見たことはないような気がする。そういえば、ある春の日に乗ったこの「東海2号」の事を思いだしていた。
 今はなくなってしまった草薙駅の桜を車窓に見た事、蒲原の御殿山の桜が咲き誇っていた事、そして、富士川駅の桜並木。沿線に結構桜の木があるんだな・・・と想いながら、いつかはこの桜を絡めて写真を撮りに行きたいなんて考えていた。だが、その願いだけは叶えられそうにない。それだけが今では少し心残りだったりする。


 何かを得る その為に何か失くすのかな・・・
 そんな痛みなら きっと無駄じゃないよね
From "四月" - Savage Genius
 「東海号」と言う名前は消えてしまう。だけど、その列車が果たしてきた役割は消える事がないし、その列車に乗ってきた色んな人の想いも消える事はない。ただ、後を継ぐ者にその「想い」だけは引き継がれている。そう信じたいし、その「後を継ぐ者」が確実にその地歩を固めている事は自分がよく知っている。
 だからこそ、本当に言いたい。ありがとう、そして、お疲れ様と。