静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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磐城棚倉駅→植田駅 磐城南線(貸切復活運行)


車両 :L527-99503号車(東北道統括支店 棚倉営業所)
乗務員:東北道統括支店 棚倉営業所

 お昼のフリータイムも終え、いよいよ30年ぶりに復活運行をする磐城南線。その出発前の風景。
 この路線は、磐城棚倉駅から磐城石川駅を経由していわき市の植田駅までを結ぶ長距離路線。国鉄バス4原則「先行・代行・短絡・培養」のうち「短絡」に当たる路線である。つい最近までは「磐城北線」と言う路線が小野新町まであったが、それと対になる路線であると言っても過言ではない。
 とは言え、果たして当時から地域間の流動があったかどうかは正直疑問な所ではあるのだが、それでも約3時間かかる路線が運行されていた事を考えると需要はあったのではないかと思う。

 磐城石川。かつてはここに乗務員宿泊所もあったと言う。今でもこの地域の中心的な地域であるようで、どこの町にもあるシャッター通りに多少なっているものの、それでも比較的賑やかな中心商店街が形成されている。実際には郡山地方広域市町村圏組合に属し、白河や棚倉が属する白河地方広域市町村圏整備組合とは別の地域と言う事ができる、そんな今でも賑やかな場所であると言うのは正直知らなかった所で。やっぱり事前に調べておくのが良かったのかなぁ、と少し後悔してみたり。
 そんな賑やかな中心部を抜けると、山の間に挟まれた田園風景を眺めることができる。

 車窓には粉雪が舞い降りる。南国?静岡の人間としてはやはりこの光景に胸の高鳴りを覚えてしまう訳で。

 バスは一路峠を目指して東へと進む。
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 そして、今まで走ってきた「中通り」から「浜通り」へと入る。
 かつて、ここを走っていたバスが小休止をした御斎所峠の「峠の茶屋」で小休止。
 この磐城南線は「福島県道14号いわき石川線」を走るが、この道は「御斎所街道」と言われ、中通りの白河・棚倉両城下および、須賀川と、浜通りの平城下および小名浜・九面・平潟の諸港とを連絡する要路であったとのこと。恐らくその昔は平に上がった魚を運んだりとか、色んな面での交流が盛んであったのかもしれない。事実、今でも多くの車が行き交っている。ただ、その交流の足が「バス」から「自家用車」になった、と言う事なのだろうか。
 今では顧みる人も少なくなった「御斎所峠」の旧道。国鉄バスではないものの、30年ぶりにやってきたその流れを汲むJRバスをどんな面持ちで山の木々は眺めていたのだろうか。

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 いわき、と言えば少なからず気になる地域である。
 自分の母方のルーツがこの地にあり、今でこそ母親の実家は都内にあるものの生まれはいわきであり、何人かこの地に親戚もあったりとか、大学の頃の後輩もこの地に住んでいる。今まで常磐線で1回だけ通った事があるものの、まちの中まで行った事はない。実際に母親の生まれの地は今回の経路上に無かったのだが、それでも「こんな所なのか」と言うような感覚を持って車窓を眺めていた。
 遠くに海が見え、この旅も終わる。
 この30年目の復活「磐城南線」の終点である植田駅。

 真っ青な空、その空は白河や棚倉、石川で見た空とは違っていた。そう、いつも見慣れた空の青さだった。