静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

静岡駅→USJ/JR東海バス 京阪神昼特急静岡1号

結果的に乗りに行ってしまってました(苦笑)。
本当だったら北海道のネタが終わってから、と思ったのですが、新鮮なネタは新鮮なうちに、と言う事で書くことにします。


より大きな地図で 京阪神昼特急静岡号(静岡駅→USJ) を表示

■まさかの復活?
8月30日、何事も無かったかのようにJR東海バスのwebページを見ていると「京阪神昼特急静岡号運行開始」と言う案内が出ていた。あれ?これって復活じゃね?と思って見てみると、時間もかなり変化させた上、運行区間も静岡駅〜大阪駅ではなく、静岡駅〜USJと言う区間になっていた。その上、車両は4列シート車。「これって、いわゆる【京阪神青春昼特急静岡号】じゃね?」と思ったのは言うまでもない。
正直、普通の4列シート車は飽きるほど乗っているわけだし、区間も新名神経由とは言え、ドリーム号や京都大阪ライナー号で乗った区間。乗りバスと言う観点から言えば「新味が無い」って言うのが一番の感想。正直、「今回はメンドクサイし財布もアレだからパスしよう」と実は考えていた。

そんな時、旅行会社勤務の友人から「旅行会社でも高速バスネット在庫の路線の発券できるよ」と言う話を聞いた。「じゃぁ、11D席確保できたら買うよ」(予備席が11C席であり、売り出しの段階で隣席に確実に人が来ないのは11Dしかない)と言う話を冗談半分でした。

で・・・、その席が取れてきた。
と言う訳で、当初は乗りに行く予定は一切なかったのだが、一転して乗りに行くことになった。その後、仕事関係で大阪でのイベントが発生したので、「ただ乗りに行く」と言うのは無くなった。そのかわり、スーツ姿(に限りなく近い社会人のコスプレスタイル)で行く事になった。また、この部分も含めて当日まで「京阪神昼特急静岡1号・復活初日初便」に乗りに行くと言う事は一切公表しなかった。まぁ、色々この仕事をしているとありますので。

■乗車してみる


この「京阪神昼特急静岡号」、4列シート車とは言え「ワイドシート車使用」と言う表記がJR東海バス発行の時刻表に記載があったので、一体何が来るのかと思っていたのだが、いわゆる「楽座」車ではなく05年投入の新セレガ。残念と言えば少し残念な部分もあるのですが、それでも05年車のこのタイプにはまともに乗ったことがないので、「新味」と言えば「新味」ではありました。また、客層を見てみると確かに「初乗りのお客さん」と見る事が出来る人もそこそこ確認することができたものの、むしろ「極普通の一般のお客さん」が多かったような気がしないではない。それこそ、最近ではJR東海バス大学生協での販売を拡大しているので「4,500円で大阪まで行ける」と言うのは学生に対しての訴求効果があるものと思われるところ。特に出発式も記念品も何もなく「前から当たり前のように運行している路線」と言うような感じで静岡駅を発車。
乗ってみると本当に「東名高速線」と全く変わらない。強いて言えば行先表示の「大阪・USJ」と言う文字と、案内放送の「京阪神昼特急静岡号」と言う案内で、かろうじて大阪行なんだなぁ、と言うのが実感できるところか。


バスは静岡県内の東名焼津西・東名吉田・東名菊川・東名掛川・東名袋井・東名浜松北と停車してから浜名湖SAで早速休憩。静岡駅出発時点の案内放送で「湾岸長島で乗務員交代を行う」と言うものがあったので、距離的に見れば静岡駅から見た場合には早速かよと思いながらも妥当な線かもしれない。初代京阪神昼特急静岡号が上郷SAで休憩していた、と言うものと比べると結構違和感があるような気がしないでもないが・・・まぁ、安全運行のためには仕方ないところかと。結局この日の乗車は27人程度と窓側が埋まり、ところどころが二人がけになっていると言う状態。確かにこれくらいの乗車率を確保できるのであれば3列シート車よりも4列シート車の方が乗車チャンスを高めることができるのではないかと思う。


初代京阪神昼特急静岡号が名神高速経由だったのに対し、二代目京阪神昼特急静岡号は伊勢湾岸道新名神経由なので、豊田JCTからは(自分の目で見る限り)初めての伊勢湾岸道。それこそしずてつの中部国際空港線では2回程、京都大阪ライナーでは1往復程度バスで乗った事はあるが、実は昼間に通るのは初めてなわけで、個人的には初めての光景で楽しめる事ができた。安城の観覧車や名港トリトンも見る事ができたし、名港中央インターの傍にあるJR東海の「リニア・鉄道館」に置いてある117系電車も車中から確認することができた。しかし、この名港中央インター出口の渋滞が結構激しくなっていたのだが・・・一体何のイベントがあったのだろうか、個人的には凄く気になるところだったりする。


名港中央インターを抜け、暫く走ってから湾岸長島インターで流出。ここもナガシマスパーランドへのお客さんと思われる方で出口渋滞が発生していた。バスはインターを出ずに併設されているPAに入り、ここで乗務員交代となる。京阪神ドリーム静岡号の場合には乗務員はJR東海バス西日本JRバスの間で交代となるが、この二代目京阪神昼特急静岡号の場合はJR東海バスの乗務員同士で交代。恐らく静岡支店の方と名古屋支店の方の間での交代になると思うのだが、最後尾席なのでその様子を確認する事は出来なかった。毎回思うのだが、乗務員交代の間で開放休憩してくれてもいいんじゃないのかなぁ・・・って思うのですけどね、正直言って。

湾岸長島パーキングエリアで乗務員を交代し、伊勢湾岸道から東名阪、新名神と進んでいくと以前名神高速線の超特急便(神戸系統)で通った経路になっているので、持ち込んだ本を読みながらのんびりと過ごす。正直バスの車内が一番読書が進むって言うのはどうなのかなと思う所があるのだけど・・・そこはあんまり気にしない方向で。しかし、相変わらずこの新名神の作りは半端ない。地上面からかなり高くに作ってある高架橋や緩い曲線、何でここまで豪華なのかと言うような甲南PAのトイレまで本当に凄いと思うし、新東名でもこの位のレベルになるのかと思うと楽しみで仕方ない、いや本当に。名神高速草津から入り、早速京都深草で1名降車。


名神高速を吹田インターで抜け、千里ニュータウンのあたりで新御堂筋に入ってからJR大阪駅バスターミナルへ。ここで大多数のお客さんを降ろした後乗客は5名になって終点のUSJへ向かう。何でまたUSJなのかと思えば近隣に西日本JRバスの車庫があり、そこまでの回送の客扱いをすると言う趣旨のものがあるのかもしれない。しかし、USJまでの直行交通機関ができたということは、それだけ静岡からでも便利に向かう事ができるようになった訳だし、やはり学生さんへの訴求効果と言うのはあるものかと思われる。

静岡から約6時間で到着。新幹線を使えば3時間と少しで来る事ができるような場所ではあるが、今後どのようになるのか気になる路線である。

■分析みたいなもの
【乗客側から見て】
 以前書いたエントリにもあるが、「夜行便を使えば滞在可能時間が長くなる」(=夜行日帰りが可能)事もありますので、初代の「京阪神昼特急静岡号」と比較するとダイヤ的には使いやすくなった、と言うことは確実に言える。それこそ無茶な話ではあるものの、大阪で往路・復路各1時間の間合い、現地滞在2時間と言う「それは余りに無意味だろ」的な行程を取れば徳島まで夜行日帰りも出来るようなダイヤになっている。流石に夜行便からの乗り継ぎのような選択肢は多くはないものの、大阪に午後一番に付到着できると言うのは確実に利便性が上がったと思う。
また、帰りについては静岡着が遅くはなるものの17時頃まで大阪に滞在する事が可能になるので、かなり時間は限られるものの「昼便での往復」も可能な状況になっている(渋滞とかの事を考えると決してお薦めはできないが)。そんなこんなで考えると、「京阪神昼特急静岡号」と「京阪神ドリーム静岡号」の組み合わせで使うのが便利になるのではないかと思う所。

【運行会社側から見て】
 何でこの時期に「復活」?と思ったのは言うまでもないところ。だが、初代京阪神昼特急静岡号の運行を開始した頃とは大幅に周辺環境が違っていると言うのは言うまでもない。それは「ツアーバス」の存在である。特にJR東海バスの場合には関東系統のドリーム号においてツアーバスとの競合が激しくなっており、webページを見てみた場合でも他JRバス各社のものとは異なり、完全に主たる顧客層を「ツアーバス」の利用者層である若者向けとして作成している。
 ここで、静岡と言う地域特性を見ると、「ツアーバス」にまだ侵食されてないどころか、対東京においては競合路線である「駿府ライナー」号と結果的には共闘の形で「ツアーバス」の路線を撤退に追い込んでいると言うことがある。そんな中で、まだ手をつけてない対関西路線を充実させる事によって「ツアーバスを事前に食い止める」と言う方向性があるのではないかと思われるところがある。(夜行便においては既に「京阪神ドリーム静岡号」が存在し、競合路線として「京都大阪ライナー」があるので、結果的に共闘関係にあるものと推測される)
 また、中央ライナー101号/102号廃止によって生まれた車両リソースを静岡に振り向けてと言う事も言うことができる。

【今後の課題】
 ただ、実態としてみた場合には静岡大阪間の流動は決して大きくはないので、そこをどうやって克服するような商品造成をするのかと言うのが気になる部分ではある。例えばJR東海ツアーズあたりが昼行便と夜行便を組み合わせた「夜行日帰り」のUSJツアー商品を造成するとか、往復バス使用の商品を造成して積極的に売り込んでいく、と言うような方法はあるのかもしれない。
 いずれにしても、JR東海バスが「どのような形で」顧客に訴求していくのか、ここが一番重要なポイントとなるものと思われる。