静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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浜松市における地域産業の現状〜産業集積と地域経済環境〜(8)

 また、地域住民の行動様式も併せて変化してきた。地元に無ければ他で買えば良いと言うものもある。
 この結果として中心市街地における消費行動から郊外の大規模小売店舗での購買に移動した他、それでも無ければAmazonなどの通販サイトでの購入も可能になった他、安価で東京方面に行くことのできる高速路線バスもここ3〜4年の間で浜松発着の系統に関しても急激に増加してきた。
 浜松に関してはまだ本数は少なくなっているが、静岡市に関しては東京方面行高速路線バス(途中無停車の「直行便」に限る)が20往復/日以上も運行されており、一定数の顧客が地域内消費から地域外での消費にシフトしていることが伺えるものである。

■まとめ
 本発表においては些か端折り気味ではあるものの、浜松地域における産業集積の形成過程とその要因、浜松市が現在置かれている地域産業の現況を概観してみた。
 一時期、盛んに「都市間競争」と言うことが言われていたが、何によって「競争」をするのかと考えた場合に「地域の価値」と言うものがその競争する対象であると考えられるものである。行政的な観点から見た場合には「価値」を高める事により税収を増加させ、様々な市民サービス提供に還元できることが可能になる。
 浜松における「価値」と言うものを考えると、今までの産業集積を形成してきた様々な要因そのものが「価値」となりうるが、今後はそれに「何か」をプラスする事が喫緊のところであるのではないだろうか。すなわち、今までの「価値」を「地域資源」として認識し、その「地域資源」を何によって高めるのか、と言う議論とその実践が必要である。
 この「デジタルサウンドシンポジウム」において行われる様々な議論によって、浜松が現在抱えている「手詰まり感」を解決することのヒントが生まれてくることを期待するところである。