静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

静岡・富士五湖2号 静岡駅→河口湖駅


 とある本の編集作業真っ最中の日、その路線は運行開始になると言うアナウンスがあった。
 路線そのものは既に乗車したこともあるし、既に書いたこともある。とは言え、「これは新規路線になるんだろうなぁ」と言う事で悩みながらも早速高速バスネットで予約をし、その日が来るのを待つどころか・・・気がついたらこの日が来たと言う状況であった。


 静岡駅6:40。既にそのバスはお客さんが来るのを待っていた。丁度すぐ近い時間帯に新宿行のバスもあるのか、お客さんは多く待っているが、なかなかお客さんは乗ってこない。窓口がこの時間帯では開いていないため、静岡支店の担当者も案内に出てきている。
 しかし、待っていると徐々にやってくる。既に切符を発券してある人もいれば、予約だけしておいて発券をしてない人も居る。そんなお客さんに対しては片道か往復かを確認して発券を車内の料金箱でしているが、驚いたのは富士急ハイランドのセット券を車内料金箱でも発券ができるようになっていたところだ。「このきっぷを窓口で渡して入場券に引き換えてくださいね」と案内をしながら発券をしている。この部分はWEBページにでも出ていなかったので驚いた所だ。(実際には遅れの原因にもなるので、前日までに発券して欲しい所であるかもしれないが)
 お客さんを見ると、自分と数人以外はほぼ富士急ハイランドに遊びに行く若い人であり、この路線の性格を見せている。元々、富士急静岡バスが季節運行で行なっていた路線を、この1月1日からJR東海バスが運行することになったので、やはり「観光路線」としての色が強い。また、それまでは静岡駅を出発するとそのまま富士急ハイランドまで直行していたが、新しく清水駅前を経由する事になったので、実際にはどのようになるか気になる部分もある。

 バスは、半分程度のお客さんを乗せて静岡駅前を5分程度遅れて出発した。


 静岡駅から清水駅前までは「渋谷・新宿ライナー静岡号(南幹線ルート)」とは異なり、国道1号線を走行する。途中停留所が無いと言うことと、運行時間から見て国道1号線経由であるとの予測はしていたが、やはりその通りであった。かつてガンダムが立っていた東静岡駅前を通過し、自宅最寄りの交差点も通過する。この区間であるが、こまめに乗客を集めるのであれば南幹線経由にした方がいいのではないかと思う部分もある。しかしながら、JRバスがこの区間を走るのは東名高速の通行止めなどと言った異常時しか無かったわけなので、新しい経由地になると言っても過言ではないであろう。清水駅前からは4名乗車。
 この「静岡・富士五湖号」、JR東海バスのWeb Pageでは「高速バスネット」での予約扱いしかない、としか読むことが出来ないが、実際には従来通り「発車オーライネット」でも取り扱いがあり、運転席側のCD席が「発車オーライネット」、出入口側のAB席が「高速バスネット」での扱いになっている。この日は「高速バスネット」での扱いが3席程度しかない状況であったが、「発車オーライネット」側での扱いが半分以上と言うアンバランスぶりであり、先々座席の割り振りが変わる可能性はあるのかもしれない。


 清水駅前を出ると、東名高速に清水インターから入る事になるが、そのまま真っすぐに東名高速を行かず、清水JCTから清水連絡路に向かうレーンに入る。そう、清水インターから新富士インターまでは「新東名」経由の系統であり、この「清水連絡路」を定期便で運行する初の系統である(昨年の集中工事期間中は渋谷・新宿ライナー静岡号は清水連絡路〜新東名高速を経由したが、現在でも所定は東名高速経由)。グイグイと高度を上げていき・・・


 今度はこの新清水JCTを連絡路から新たに眺めることになる。やはりこれだけの巨大構造物を見るのは興奮するものであるし、自分がハンドルを握る時では見ることのできない眺めである。

 そして、新東名本線に入り、トンネルを抜けて行くと清水PAの付近に辿り着く。この清水PAを抜けて新清水ICの当たりで真正面に雄大な富士山を眺めることが出来るはずだが・・・残念ではあるが、この日は眺めることが出来なかった。考えてみれば「新東名スーパーライナー」に始まり、「静岡甲府線」、そして「静岡・富士五湖号」に乗っては居るものの、富士山を眺める事が出来たのはまだ無い(高速バスの中から的な意味で)。やはり日頃の行いが悪いと言うか何と言うかアレなのであろうか。

  

 その先の旧富士川町内からでも富士山を望むことができないまま、バスは新富士インターで新東名高速から出て、西富士道路〜富士宮道路と国道139号線バイパスを走っていく。そう、完全に「高速乗合バス」ではなく「急行バス」のような意味合いが強い路線である。しかしながら、静岡市内からこの沿線まで乗り換えなしで来る事ができる交通機関は全くなく、自分でもこの付近に来るためには自家用車で来るしかないところである。

 
 遠くの空は晴れだしており、ひょっとしたら富士山も見えるかもしれないなどと淡い期待を持ちつつ、バスは富士宮道路の山道を進んでいく。かつては貸切バスで中央道を目指してここの付近を走り、今ではお客さんの所に行くためにこの付近を走ると言う自分にとってはいわば「慣れた道」でもある。しかし、バスと言う視点が高い場所から眺めるのはまた違った風景になっている。

 この付近、標高はどんどん高くなり、700mや800mと言う標高を示す標識と共に気温を表示する掲示板も出てくる。そこに見たのは・・・

 マイナス5度。こりゃ寒いはずである。静岡県内とは言えども「寒冷地手当」がこの付近にある学校勤務者には出ると言う話も聞いた事がある。また、標高で言えば東名高速道路の御殿場ICのほぼ2倍の高さを走るワケであり、日によっては凍結の危険性も。そんな「朝霧高原」を抜けて行く。

 県境を超えると本栖湖精進湖と抜けていくが

 この付近で天気は急に晴れてくる。曇り空の静岡県内とは大きな違いである。車内もここの付近まで来ると早起きして眠い人が多くなっているのか、静岡駅を出たばかりの頃と比べて格段に静かになってくる。これから1日富士急ハイランドで遊ぶのであれば確かにその通りであろう。
 そして、鳴沢氷穴を抜ける頃には雪を被った富士山が進行方向右手に大きく見え、赤くてド派手なハイランドバスターミナルに到着する。

 以前はここで降車して新宿行の高速乗合バスに乗り換えたが、今日はそのまま河口湖駅まで乗車する。結局河口湖駅まで乗車したのは自分を含めて4名ほどだけであった。

 今までJR東海バスは乗り入れたことがなかった河口湖駅であり、実は自分も初めて来るところである。約2時間の短いバス旅はここで終わり、ここで小休止の後新宿西口へと向かうことになる。バスは車庫に向けて回送していく。

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 実際としては2回目の乗車でしたので、特に静岡駅前〜新富士ICまでの間を中心として書いてみました。
 本文でも書きましたが、やはり「富士急ハイランド」へのお客さんがメインである路線であるのには間違いありません。ただ、1月から毎日運行になったこともありますし、静岡から河口湖、そしてその先の富士急線(鉄道)や大月と言うのは非常に行きにくい所になっています。需要としてはそれほど多くはないのかもしれませんが、河口湖駅着が9時頃と言うこともあり、用務利用も取り込んでいくと言う感じなのでしょうか。

【おまけ】

 乗務員さんが使っている時刻表には「229行路」と書かれていました。行路とは「仕事の順番」を示すものですが、その番号に「229」と言うのを使うと言うのは・・・なかなかシャレが利いているところなのかなぁと思ってみたり。