静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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8/2 博多Fujiyama Express NR42902便 博多BT→富士山駅(1)

 静岡から福岡、普通の人ならば新幹線で行くか、それとも飛行機で行くか、というのが通常のルートになる。以前は大阪博多間で「山陽道昼特急博多号」という昼行便が運行されていて、「京阪神ドリーム静岡号」と「山陽道昼特急博多号」を大阪で乗り継いで来ることも出来たが・・・そんな事をするのはごくわずかの人しか居ない(と思う)。
 しかし、この日から静岡と福岡、この二つの都市が「夜行高速バス」で直接結ばれるようになった。それがこの「博多Fujiyama Express」である。静岡と言っても乗車場所は東静岡駅北口であったりとか、始発駅は静岡県内ではなく山梨県内の富士山(富士吉田)駅であり、運行会社も富士急山梨バス西日本鉄道の共同運行であるなど、厳密に言えば「静岡と福岡」を結ぶ路線ではないのかもしれない。
 だが、それでも「静岡市内」から乗換なしで北九州・福岡に行くことができるようになったのは間違いはない。そこで、夏休みを取ってこの「博多Fujiyama Express」に乗車することにした。

 このBlogの趣旨から言えば、東静岡駅北口から乗車するのが王道なのかもしれない。
 しかし、今回は敢えて福岡側の「初日初便」に乗ってみた。静岡側の「初日初便」は共同運行先の富士急山梨バスであり、九州を走る富士急バスと言うのも惹かれるものがあった。しかし、西鉄バス静岡市内で客扱いをする最初の便であるということに大きな魅力を感じたのは言うまでもない。後は本業のスケジュールの都合上、月曜日の休暇取得が困難であると言うこともあったりするのだが。

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 8月2日、16時30分過ぎ。
 それまでの汗を一応駅近くの温泉で流し、土産や夕食の弁当を購入し、博多バスターミナル35番乗り場に立った。この乗り場からは、2012年に同じ西鉄の「はかた号」に乗りに行った帰りに「広福ライナー号」(JR九州バス便)に乗って以来である。(尤も2014年の1月には亀の井バスのラッピングバスに乗るためにこのフロアの別乗り場に来たのだが)。
 この「博多Fujiyama Express」号は、この博多バスターミナルを出発する2番手の夜行バスである。トップバッターは横浜・池袋を経由して大宮まで向かう「Lions Express」号。その5分後に「博多Fujiyama Express」号は入ってくるが、この日は諸事情あって「博多Fujiyama Express」号が先に入線し、客扱いを行うことになった。そのため「いつまで待たせるんだ」と言った罵声も飛んでいたが、そんな罵声を消してしまうがごとく、この初便を一目見たいというファンもやって来ていた。


 バスが到着し、乗車する前に正面の写真を急いで1枚撮影。確かに正面のステッカー受けの所には「静岡」と言う文字が入っており、確かに静岡までこのバスが行くということを示している。そして、何よりも正面の「Nishitetsu」というロゴが静岡の人間としては(福岡に来る度必ず一度は目撃しているものの)やはり目新しいものである。


 早速車内に乗り込み、簡単ではあるものの1枚撮影。車両はスーパーハイデッカー車と言うこともあり、普段乗り慣れている夜行バスの2階建て車とは違って非常に余裕がある。そして、椅子も寝心地の良さそうな感じであるほか、通路と座席を区分するカーテンも設置されている。また、更にコンセントも付いているので約15時間を過ごすのには苦では無さそうであった。バスそのものもまだ新しく、新車の匂いが漂っている。


 そして、数分遅れて博多バスターミナルを出発。雨に煙る街並みを抜けてまずは天神バスセンターへと向かう。
 しかし、バスそのものは普段から地元の人が見慣れている西鉄の夜行高速バスであり、特に目を向ける人は居なかった(亀の井バスのラッピングバスの時は自家用車の人や他のバスの乗客、歩く人からも「何あれ?」と言う目線を感じたが)。しかし、天神バスセンターへの入口にはこのバス目当てであろうファンがカメラを構えて待っていた。


 天神バスセンターでは出発記念式典が行われることになり、西鉄関係者だけではなくバスファンもその様子を写真に収めていた。尤もこちらは車内で見ているだけではあるが。出発式典を行うと言うことはそれだけこの「博多Fujiyama Express」号に対する西鉄の期待が大きいものと思われる。しかし、この便に福岡地区から乗ったのは博多バスターミナルからは7人、天神バスセンターからは1人と言う少ない人数であった。しかし、しっかりと育てていきたい、ということを感じる光景であった。

 そして、バスは天神北ランプから都市高速に入り、九州道を静岡へと向けてクルーズを開始する・・・が、「はかた号」や「Lions Express」と同様に北九州地区でも客扱いを行うため、一旦八幡インターで出路して高速千代ニュータウンに停車。しかし、ここでも乗車はなく、そのまま足立ランプへ向かって砂津へ。


 一瞬、何でこんな所に観覧車が?とわからなかったが、ここが「チャチャタウン」と言われる砂津のバス停であることに気づいた時には既にバスは出発していた。確かに小倉周辺のバスで「砂津」と言う行先表示を見かけることは非常に多いが、考えて見ればまだ行ったことがないワケで。こりゃまた来た時にはこの付近も歩いてみないことには・・・と思う。
 その後、小倉駅前にも停車するが結局乗車は無く、結局は福岡地区で乗った8人だけ・・・という数字であった。

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 バスは再び都市高速へ富野ランプから入り、門司インターから九州道に再び入る。ここまで来るとまどの外は既に真っ暗となっており、何も見ることは出来ない。そして、窓には雨粒が目立つようになってきた。
 走るほど約5分、窓の外に灯火が見える。そう、いよいよ九州の地に別れを告げる関門橋に差し掛かった。


 この日の昼間、折角だから・・・と言うことで初めて関門海峡を船で渡った。その時に見えた景色の中を今、バスは走っている。次に九州に来るのはいつの日になるのだろうか、と言う事を考えるヒマもなく本州へと戻り、静岡までの長い長い道のりを走って行く。
 この日は台風の影響が山口県内にも出ており、中国道は50km/hの規制がかかっていた。そんな中バスは中国道のカーブの多い道を雨に打たれつつ約2時間走り、最初の休憩地である山陽道佐波川SAに到着。ここが最後の休憩地になると思いきや、「お休み前の休憩を福山SA(広島県)で取りますので、短めの休憩になります」とのことであった。


 博多バスターミナルでは慌ただしくて撮影できなかった側面の行先案内を1枚。紙に書いてしまえば本当にあっと言う間ではあるが、本当に行くのだな・・・と言うことを感じさせてくれる。車外に出て少し伸びをして一休みしていると出発時間はすぐにやってきて、再び山陽道を東へ東へと向かう。
 そう、この佐波川SAを出発するときにドライバーさんから「このバスのナンバープレートは富士山の標高と一緒である37-76番になっています。皆さん気づかれましたでしょうか?」と言う案内があった。

 この「博多Fujiyama Express」号、「はかた号」のように車内で映画の上映も無い。また、外の景色は既に真っ暗であるため何も見ることが出来ない。乗車するときには何か本を持ってくるのがいいのかもしれないが・・・折角買っておいた本を自宅に忘れてくると言う失態をやらかしてしまっていたため、車内では思いっきりヒマになる。
 しかし、この日は広島から新幹線で徳山まで、その後普通電車と船を乗り継ぎながら、何故か福北ゆたか線原田線を経由して博多入りしていたため、やはり疲れていたのか車内でウトウトとし始める。しかし、それでもこの日の出発地である広島付近を通過していたことはわかっていたようであった。そんなこんなで再び2時間程度走り、広島県は東の端である福山〜井笠バスの営業エリア、と言う意味では「帰ってきた」と言っても過言ではない〜に入り、福山SAで今度は15分休憩となる。


 山口県内〜広島県内の間で降っていた雨も少なくなり、車外に出て寝る前の洗面をしてから売店を覗いて買い忘れたお土産を購入して(いや、前日は広島泊でしたので)からバスに戻る。
 バスの中は既に窓にカーテンが引かれており、全員乗ってから通路側の仕切りカーテンも引かれて消灯となった。後はこのまま本格的に寝ている間に東へ東へと向かう事になる。カーテンを引いて、服を多少楽にしてからしばし一眠り・・・

(続く)