静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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8/2 博多Fujiyama Express NR42902便 博多BT→富士山駅(2)

 バスは山陽自動車道の福山サービスエリアを23:30に出発し、更に東へと向かう。
 ここで窓のカーテン・通路のカーテンが降ろされて消灯となり「おやすみタイム」となる・・・が、ドライバーさんは交代をしながら東へと車を走らせる。座席回りが既にカーテンを引かれたことをいいことに、iPhoneでネットを眺めてはいたものの、流石にこの時間になると眠くなる(と言うか、翌日の行程の事も考えてと言うのもあるが)ので、日付が変わる頃にはすっかり寝入っていた。
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 携帯電話のGPSを作動させていたので、大体の到着時刻は後から確認をすることができた。
 福山SAを出た後、次に入ったのは兵庫県に入って三木SAであり、大体1:30頃に停車して運転士交代を行っているようであった。その後、神戸ジャンクションから再び中国道、吹田ジャンクションで名神高速草津ジャンクションで新名神、亀山ジャンクションで東名阪、そして御在所SAで運転士交代となっている。この御在所SAで3:30頃。四日市ジャンクションで伊勢湾岸道、豊田ジャンクションでいよいよ東名高速に入り、静岡県内に入ったのは4:50少し過ぎと思われる。
 以前はこのような通過時間まではわからなかったが、今ではGPSのログをたどることによって大体の通過時間が分かるようになった、と言うのはありがたい話である。
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 5:30過ぎ。
 バスは牧之原インターチェンジからの下り坂を走っていた。体が「静岡県中部に帰ってきた」ことを察したのかどうかは分からないが、目が勝手に覚めた。ふと窓の外を見ると朝焼けに包まれた見慣れた相良の茶畑と駿河湾が飛び込んできた。本当に西鉄の高速バスで静岡まで来てしまったんだなぁ・・・と思っているとドライバーさんからの朝の挨拶が始まった。東静岡駅到着前の最終休憩である日本坂PAを前にしての案内である。閉められていたカーテンは開かれ、大井川の橋の上から見る志太平野の眺めが広がっていた。
 

 目の前に早速富士山が見えてくる。
 そう、この「博多・Fujiyama Express号」の楽しみである富士山の眺めはここからはじまる。フロントウィンドウには雨粒が付いているものの、焼津市藤枝市静岡市の協会にある高草山の向こうには富士山を眺めることができる。この富士山は終点の富士吉田に向かうにつれて大きくなる。この富士山の眺めを様々な角度から楽しむことができるのも「博多・Fujiyama Express号」の楽しみであるのかもしれない。

 そして、最初の降車地である東静岡駅北口を前にした日本坂サービスエリアで最後の休憩となる。ここで一旦車内から出て朝の洗面などを済ませてから再びバスに戻る。東静岡駅で降りるのであればこのバスの旅は後30分で終わるところであるが、富士吉田まで向かうとなるとまだ2時間以上も旅は残っている。
 15分程度の休憩を済ませ、焼津市静岡市の境になる「日本坂トンネル」を抜けるとバスはいよいよ静岡市に入ってくる。


 
 日本坂トンネルを抜けて少し走ると、静岡市中心部のその奥に富士山がまた優美な姿を見せる。静岡市民である自分は、やはりここから富士山を見ると「ああ、静岡に帰ってきたなぁ」と安心する一瞬である。それは、同時に勤務先の近所にある静岡県庁や静岡市役所も同時に見ることになり「現実に帰ってきたか・・・」と思う一瞬ではあるが、それでもやはり「自分の居るべきところ」に帰ってくると言うのはほっとせざるを得ない。
 バスは静岡インターチェンジを抜け、東名取付道路・国道1号線を走って行く。

 毎日の通勤経路を西鉄バスの中から眺めるのは不思議な気分であり、違和感がいい仕事をしているとしか言いようがない。丁度通過した時間帯は駅のロータリーに止まっていたのはJR東海バスの急行便のみ。夏休みとは言え日曜の静岡のまちはまだ寝ているのかもしれない。
 静岡の中心部はこの静岡駅前と静鉄電車の新静岡駅周辺となっており、中心部であると同時に交通結節点となっている。本来であればこの「博多・Fujiyama Express号」もこのロータリーの中に入って客扱いが出来ればいいのであろうが、残念ながら静岡駅前のロータリーはJR東海バスの関係する高速バス路線、地元しずてつジャストライン在来線路線バスしか入ることが出来ない。もし、このバスの共同運行相手が富士急山梨バスではなく、しずてつジャストラインだったら・・・と思うのはやはり地元民の妄想であろうか。いや、しずてつもこの系統に関しては競合関係が無いので、新静岡バスターミナルは無理でもせめて17番乗り場での乗降を認めれば・・・とは思うのだが。
 しかし、現実は現実で仕方ないので、静岡駅前を通りすぎてバスは東静岡駅北口へと足を進める。

 平成26年8月3日午前6時20分。定刻より約30分程度遅れたものの、静岡と福岡が初めて結ばれた一瞬である。
 誰がここで西鉄の高速バスを見かける事になると想像しただろうか。少なくとも自分はバス好きであるものの想像出来なかった光景である。次にいつこのバスに乗ることが出来るかは正直分からない。だが、時間はかかるものの「乗換なしで福岡まで行くことができる」と言うのは何よりも大きな出来事かもしれない(個人的に)。

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 このBlogの趣旨から言えば「博多・Fujiyama Express号」福岡発初日初便の乗車記はここまででいいのかもしれない。しかし、折角の日曜日、と言うこともあるので終点の富士吉田まで乗ることにしていた。
 バスはこの先、国道1号線七ツ新屋(ななつしんや)の交差点まで向かうのだが、この七ツ新屋交差点から自宅までは直線距離で1kmも無い。こんな所を通る以上は機会を見つけて写真を撮りに行きたいと思うところである。

 ここから先はいうなれば「蛇足」になる。しかし、地元民として幾つか紹介したい光景があるので、写真を貼り付けて行くことにしたい。

東静岡駅→東名富士間

 由比(ゆい)の海岸から見える伊豆半島。薩埵(さった)トンネルを抜けると広がる駿河湾の朝の風景はまた格別です。


 蒲原(かんばら)トンネルを出て真正面に見える富士山は本当に大きいです。また、この区間には桜並木もあり、春には美しい光景を見せてくれます。

御殿場駅→ハイランドバスターミナル間

 東富士五湖道路の須走(すばしり)料金所を抜けて籠坂(かごさか)トンネルまでの短い間ですが、ここが一番富士山に近い区間かもしれません。この籠坂トンネルの中で静岡県から山梨県に入ります。


 山梨県内に入ると裾野から富士山の眺めを見ることができます。ちなみにこの付近は自衛隊の演習場となっており、特に大きな建物を見ることはありません。晴れていれば美しい区間です。

河口湖駅富士山駅

 河口湖駅の奥でも富士山がその姿を見せてくれます。

 そしてバスは、約15時間、1050キロの長旅を終えて富士山駅(富士吉田)に到着する。帰りのバス出発までの一休みをするために、バスは車庫に向けて走って行くと同時に、この初日初便乗車は終わった。