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人権保護法案--ちょっと待った!(1)

 第三章の人権擁護委員。まぁ、流石に国がそのままやるって言うワケにも行かないですし、それぞれの地域の事情もあるので、委員を委嘱するって言うのは確かに分かります、と言うかまぁ王道でしょ。けれども、個人的に気になる部分があったりもします。


(設置)
第二十一条 地域社会における人権擁護の推進を図るため、人権委員会人権擁護委員を置く。
2 人権擁護委員は、社会奉仕の精神をもって地域社会における人権擁護活動に従事することにより、人権が尊重される社会の実現に貢献することをその職責とする。
3 人権委員会は、前項の人権擁護委員の職責にかんがみ、これを遂行するのにふさわしい人材の確保及び養成に努めるとともに、その活動の充実を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 
(委嘱)
第二十二条 人権擁護委員は、人権委員会が委嘱する。
2(略)
3 市町村長は、人権委員会に対し、当該市町村の住民で、人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者及び弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員のうちから、当該市町村の議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない。
 まぁ、いわゆる「専門家委員」と言う事になるのかとは思います。確かに素人がやるよりは専門家にやってもらう方がいいのかとは思うのですが、問題は「人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体」って一体何なのか?って言う所になってくるのかと思います。まぁ、実際に幾つか思い出される団体はあるワケなんですが、それらの団体が果たして公正・公平なものの見方が出来るのか?って言う部分はあります。言い方としては「利害団体」や「圧力団体」と言う事も出来るかと思います。産業関係で言えば商工会議所とか○○商店街振興組合とか。問題は、この「利害団体の関係者」って言うような部分に読めてしまう所だと思います。産業関係の話に置き換えて言えば、商調協(今はありませんが、昔、大規模小売店舗が出店する際に、その出店を認めるか認めないかを決める協議会がありました。)のメンバーになれるのが「○○商店街振興組合」とか言う団体の方だけ、と言っているのと同じ事になります。
 このような場合、どうなるかと言えば「圧力団体」ですから、基本的に「自分らの商売敵になる店の出店は認めないよ」って言う事で、大規模小売店舗はおろか、コンビニすら出店できない状況が出てくるものと考えられます。結果として、地域住民の生活利便性は損なわれてしまうワケですので、本来の活動目的を果たす事が出来ないと言う状況に陥りますし、既存の商店も自らを変革しようとする意識が無くなってしまいます。
 この「人権擁護委員」に関しても同様な事が言えると思います。活動そのものは確かに活発にしなくてはならないと思いますが、外部からの批判を受け入れず独善的な方向性に走ってしまう可能性があるのではないでしょうか。そして、その状態が固定化する事によって、決して地域によって良い方向に向かわない、そうなる危険性があると思います。少なくとも、一般市民(この場合は、企業の経営者でもいいと思います)や大学等の研究者も「人権擁護委員」とする事が出来るような方向が必要なのではないでしょうか。