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人権保護法案--ちょっと待った!(3)


第三節 特別救済手続
第一款 通則
 (差別助長行為等に対する救済措置)
第四十三条 人権委員会は、次に掲げる行為については、第四十一条第一項に規定する措置のほか、第五款の定めるところにより、必要な措置を講ずることができる。
一 第三条第二項第一号に規定する行為であって、これを放置すれば当該不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発するおそれがあることが明らかであるもの
二 第三条第二項第二号に規定する行為であって、これを放置すれば当該不当な差別的取扱いをする意思を表示した者が当該不当な差別的取扱いをするおそれがあることが明らかであるもの
 (特別調査)
第四十四条 人権委員会は、第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。
一 事件の関係者に出頭を求め、質問すること。
二 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。
三 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。
2 人権委員会は、委員又は事務局の職員に、前項の処分を行わせることができる。
3 前項の規定により人権委員会の委員又は事務局の職員に立入検査をさせる場合においては、当該委員又は職員に身分を示す証明書を携帯させ、関係者に提示させなければならない。
4 第一項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第三款 勧告及びその公表
(勧告の公表)
第六十一条 人権委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
2 人権委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る特別人権侵害の被害者及び当該公表の対象となる者の意見を聴かなければならない。
 ここで言っているのは「差別行為」の中でも、特に「こいつは悪質だから別に決まりを作る」って言う所です。
 結局、ここで問題となってくるのは人権委員会が職務を行わせようとする「人権擁護委員」が「利害団体」からしか選ばれる事がない、と言う部分になってくるワケなんです。まぁ、公務員が行う差別や、社会福祉法人の職員が行う虐待、児童虐待は当然許されるべきものではないですし。
 まぁ、メディアが行う人権侵害は酷いものがあるんですが、そこは報道される人の立場によってだと思います。政治家や上級公務員がやった犯罪、それは「公人が犯した犯罪」ですので、当然の話ですが社会秩序を守るためにも「犯罪を隠す」と言う事をやっちゃならないと思います。社会の公正と正義を守るためには、報道する事をためらってはならない問題であると認識しています。
 ですが、ここで気になるのは「差別助長行為」の曖昧さです。
 例えば、私は思った事をこのblogで垂れ流ししているんですが、このBlogは色んな方に読まれますので当然ではありますが色んな捉えられ方があると思います。例えば、私の事を快く思ってないAさんと言う方が「三番蔵の奴、気にくわないから、このBlogの内容を人権擁護委員にチクろう」って言う事になれば、当然私は人権擁護委員の方に出頭を命じられ、色々と取り調べを受ける事になります。で、私自身がある種の勧告を受ける事になったとした場合、当然書き手である私は「差別を意図して書いたものではない」と言う事で「そんな勧告を受け入れるつもりはありませんし、それはあなた方の先入観に沿ったものではないのですか?」と言った日には、私の本名が出てしまうと同時に、その勧告内容も公開されてしまうワケです。確かに「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」とはありますが、恐らくそのような形で公開されてしまえば、会社を辞めざるを得なくなってしまうのは目に見えてしまいます。つまり、恣意的な運用が可能であると言う所です。
 公正・公平な社会を目指すべき法律が、逆に不公正・不公平な社会を創ってしまうと言うパラドックスが、この法律には存在していると言う点です。