静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

路線バス原理主義者として。

 最後に、『路線バス原理主義者』として思った事を書いてみます。
 『高速路線バス』にとっては1つの転換期にあるのかなと思いますが、個人的には今の状況がチャンスなのかなと言うように思います。それは、「高速ツアーバス」が話題になる事によって「世間の目が『高速路線バス』にも向いてくる」と考えるが故です。依拠する法律が「道路運送法」であるのか「旅行業法」であるのかの違い(厳密に言えばもっと色んな部分で違いますが)だけであって、『高速バス』を初めて使うようなお客さんにとっては正直言えば「どっちも一緒」にしか見えないのではないでしょうか。何故「バスに乗るのか」と言う事を考えると、それは「どこかに行くため」であって「バスに乗る事そのものが目的」ではないのは余りにも当然な話です(いや、世間にはバスヲタと言う人種が居ましてねw)。
 高速ツアーバスと高速路線バスを比較した場合、高速路線バスのメリットと言うのは「自社でPR出来る様々な媒体を持っている」と言う事や「地域での知名度が断然高い」と言う部分です。これはいくらウィラートラベルが頑張ったとしても真似が出来ない強みですし、自社の中にある経営資源と言っても差し支えないのではないでしょうか。また、地方側の発地を細かく設定出来るのもメリットです。例え高速ツアーバスが高速路線バスより安い値段でコース設定したとしても「わざわざ駅の近所まで来なくちゃならない」のでは利用者の利便性を大きく損ねる事になります。事実、静岡では進出してきたウィラートラベルは3ヶ月で撤退を余儀なくされていますし、座談会の中でスタッフの方から「静岡は商売がやりにくかった」と言う言葉が出て来る程でした。
 ですが、その「利便性」にあぐらをかくだけではなく、可能な範囲でお客様の要望をどうやって入れていくのか、と言う事を同時に考える必要もありますが、これに関してはやはり「高速ツアーバス」に一日の長があるように感じました。「別世界だから」とか「競合しているから」と言ってお互いに相手をスルーしたりとか、無闇な反抗心を持つと言うのは「バス業界」全体にとっての利益にならないと思います。
 昨日の夜、こんなニュースが流れてきました。


 西日本鉄道は10年度、約100路線ある福岡都市圏の路線バスのうち20〜40路線を減便し、5〜10路線を廃止する検討に入ったことを18日、明らかにした。高速料金割引で、路線バスの赤字を補ってきた高速バスの収益が悪化しているため。
 運転手の新規採用も控え、バス営業所(18カ所)のうち2カ所を廃止、所有するバス約2500台のうち約100台を譲渡・廃棄することも検討している。高速バスも全33路線のうち3路線程度を廃止する可能性がある。これらの事業縮小で約20億円の収益改善を目指す。
 西鉄の今年度上半期のバス事業の旅客収入は高速料金割引や景気低迷で大きく落ち込んでおり、路線バスで前年同期比5・4%減、高速バスで10・4%減となっている。
 このため西鉄は9月末、福岡都市圏の路線バス31路線で1日最大139便の減便に踏み切った。
西鉄:福岡都市圏、バス40路線減便へ 来年度、10路線廃止も毎日新聞(11/19確認)
 様々な積極的な施策を打ち出して来た西鉄バスが「大幅減便」や「路線廃止」と言った施策を実施しなくてはならない状況です。競争相手は「ツアーバス」などと悠長な事を言っているヒマではく、「1,000円高速」を使う自家用車そのものです。どうやって「バス」にお客さんの目を振り向かせるか、そして、如何にして多くのお客さんに「バスっていいよね」と言って貰うか、状況はかなり深刻です。だからと言って村瀬社長のビジョンに乗っかる必要は無いですが、「高速ツアーバス」の良いところを盗み、逆に、「高速路線バス」の良いところを盗み、バス業界を今後も「継続させていくか」(=お客さんにとって魅力のある「交通機関」として行くか)を考えるべきでは、と思います。


 えーっと、「安全」の話ですか。
 そんなの当たり前の事ですからね。当たり前(と言うか最低限)の事が出来ない事業者は市場から追い出されるのが当然でしょうね。
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 最後になりましたが、今回ご招待を頂いた村瀬社長様、スタッフの皆様には厚く御礼申し上げます。