静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

過去記事のアーカイブになっています。

感想とか色々。

 自分がこの村瀬社長の話の真偽を確認する術は持ち合わせて居ません。ひょっとしたら実は全部ウソだった、って言う事もあるのかもしれませんが、この日出席した第4セクターさんであれ私であれ「Blog」を書く人間、それもアンチツアーバスの視点からです。書いていて自分も「こりゃ酷いな」と言う事を書きますが、ウソをつくならもっと上手につくでしょうし、隠したい情報だったらわざわざアンチの人間を座談会に呼ぶ、と言う事はしないでしょう。むしろ「肯定する意見しか言わない」人だけを呼んで、それこそ「ブログでのバスマーケティング」的な観点から座談会をやる、って言うのが常道です。
 その一方で「クレーマーに対して適切な対応をする事によって、その企業(商品)の応援団にする事ができる」と言うのもまた事実です。自社の商品のありかたや企業のあり方に対して真摯に意見を聞く事によって自分達が通常の業務の中で見る事が出来ない「別の観点」から見直す事が出来る、と言う所でしょうか。当然、そのクレーマーが「ウソを言った」と言えば更に攻撃の手を厳しくするのは目に見えていますし、そこまで判断の出来る「経営者」と言うのはなかなか居ないでしょう。そう言う意味で言えば村瀬社長の方針は業務の内容は別としても「伸びるべくして伸びる会社」であると率直に思いましたし、普通ならば自社の利益の極大化を目指すのが企業のあり方であるのに対して、「既存のバス会社と提携できれば運行は路線バス会社に移管して、自社は撤退する」と言うある面では「考えられない」事を言う、と言うのは「自分が本当にやりたい事」を目指している、と言うものを強く感じましたし、企業としては応援していきたいと思うように感じました。
 ですが、その反面ではまだまだ「もっと色んな事を解決しなくてはならない」と言う部分も感じました。それは、「企業は地域社会の中における1つのアクターである」と言う、自分自身が「企業」を評価する上で最も重視している部分です。
 例えば、コミュニティーバスの問題があります。
 今でこそ新免の貸切バス会社が地元大手バス会社との競争に打ち勝ち、行政からコミュニティーバスの運行を受託しているケースが静岡県内でも見られる状況になっています(例:藤枝市)が、やはり地元のバス会社は運営が厳しくても「地域の交通を守る」と言う公益的な観点から運行を実施している路線は数多くあります。そのような地道な運営を行う事によって地域社会の中で「バス会社」として初めて認知されているのは否めない所ではないでしょうか。そのような取組も何もせずに「地方の路線バスを活性化したい。」と言った所で、果たしてその「想い」は届くのかと言われれば正直届かないのかもしれません、特に静岡のような地方では。
 想いであるとか理念と言った部分では村瀬社長の考え方に共感します。ですが、その「理想」と「現実」のギャップを埋めるためにはまだまだ解決すべき課題はあるかと思いますし、「東京」と言う大都市から見た視点では見えてこない問題も存在します。その「問題」をどうやって認識し、その「問題」をどうやって解決して行くのかがウィラートラベルが解決しなくてはならない問題です。正直、2年や3年と言った中期的なスパンでは解決できない問題だと思いますし、5年10年と言った長期的スパンの中で解決がやっとできる問題ではないでしょうか。
 また、敢えて『高速ツアーバス』で運行をする、と言う経営判断も理解出来ない所ではありません。往々にして競争相手の存在があってこそ初めて「飛躍的な進歩」を遂げたケースは幾らでもあります。バス業界で言えば、それこそ静岡新宿間の「駿府ライナー」と「渋谷・新宿ライナー静岡号」の競合がまさにその関係です。相手にはない付加価値を高め、どのようにしてお客さんに選択してもらうかを考えた結果、駿府ライナー11往復、渋谷・新宿ライナー静岡号は5往復(土休日)にまで成長をしました。それと一緒で、『高速ツアーバス』の誕生が『高速路線バス』の質的な改善を促したと言う事実は、『高速ツアーバス』と言う新しい切り口で展開したからこそ出来たものだと思いますし、それは評価すべき部分だと思います。
 ですが、「実際に仕事に携わった事が無い人間が偉そうな口を叩くな」と言うのはまた確実に存在しています。恐らく既存バス会社はそのような部分もあって「新参者」の市場への登場に対していい顔が出来ないと言う部分はあるのではないでしょうか。
 「企業の継続」や「企業目的の達成」と言う観点から成される様々な経営判断に一バスヲタが口を突っ込むのは正直野暮かとは思いますし、突っ込まれても「何だあいつら偉そうに」と言うような部分はあるでしょう。それは当たり前の事です。ですが、「社会的責任」を果たすためにはやはり「路線バス事業者」として同じ土俵で競存すべきでしょうし、『ツアーバス』としての発想を『路線バス』の世界に持ち込むのならば、やはり自らも「路線バス事業者」として「社会的な責任を持つ」事によって事業の飛躍を図る事が出来るのではないか、と考える所もあります。