静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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3/16 のぞみ329号(1)/東京駅〜300系車内〜


10時30分を少し回った頃、車両基地から「のぞみ329号」となる回送列車が18番線に入ってきた。
自分は15号車の指定席を抑えていたが、この付近ですでにこのような混雑ぶりである。出発式を見たいとは思ったものの、この混雑ぶりではまともに観る事が出来ない状況であったので、自分の乗る車両に向かう事にした(実際後刻Youtubeなどで出発式の動画が上がる事になった)。

 ここ最近は「ひかり」や「こだま」しか表示されていなかった側面の方向表示幕には黄色地に黒文字で「のぞみ」の文字が入り(余談ではあるが、名古屋地区の快速最上位種別の「特別快速」も黄色地に黒文字と言うのは何かの因縁であろうか)、デビュー当初の頃を思い出させてくれる。最後の花道を「のぞみ」、それも「全車指定席」と言うものになった。


 300系の特徴とも言える茶色(東海J編成の場合。西日本の場合はグレー)のシート。今のN700系と比べれば格段に座り心地は良くないし、登場当初とも比べてみれば決して良くない。最近になって700系と比べると「300系の椅子はねぇ・・・」と思う所もあった。しかし、極限まで重量を減らして「270km/h」と言う速度を実現するためと言われればある意味仕方ない部分もある。


 あの日、デッキにワゴンを置いて(と言うかワゴンを作りながら)見かけた光景はこんな雰囲気だった。車内には幾ばくかの時間を寛ごうとしているお客様がいて、開いたドアから向こうに見える光景は忙しない時間が広がっていた。今では車内販売もワゴンを持込んでいるみたいではあるが、その当時は15号車にも空のワゴンが積載してあったような気がした(実際には11号車だけだったのかもしれないが)。100系のワゴンと比較して積載量が少なく、どうやって商品を配置すればお客様の需要に対応できるかどうかを色々と考えたこともあった。


 客席に座って車端部を眺めれば、今の700系のように明るすぎることがなく、N700系のような暖色系の照明でもない、間接照明の明るさがある。15号車は喫煙車と言うこともあり、ヤニが壁にこびりついているのがあるかもしれないが、それでもやはりあの頃の様子は全く変わってない。強いて言えば棚の上に空気清浄機が設置されるようになったところか。


 発車前のひとときは今でも大して変わらない。2時間30分の道中を少しでも快適に過ごすべく、コートと上着を脱いで棚の上にあげ、カバンの中から書類や本、携帯音楽プレーヤーを出したりとか、売店で買ったお弁当や飲み物をテーブルの上に置く。大体そんなもんである。食堂車やビュフェはもはや存在しないし、登場当初にあった7号車と11号車のサービスコーナーはもはや存在していない。どうやって2時間30分を快適のに過ごすのかが大事なのであるから。

 そして、列車は東京駅を10:47分に滑りだす。もう戻ってこない最後の旅路に向けて。