静岡の高速バス倉庫 アーカイブ

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3/16 のぞみ329号(5)/「ありがとう」の意味。

「ありがとう」
J57編成の側面に貼られていたこの文字。
何故「お疲れ様でした」では無かったのだろうか。
 「270km/h」と言う速度を東海道新幹線と言う路線で、今まで事故なく達成することができた事に対しての「ありがとう」と言う意味なのだろうか。そして、多くのお客さんを色んな事象に負けずに運んできてくれた事に対しての「ありがとう」と言う意味なのだろうか。
 そんな「ありがとう」の意味もあるのかもしれない。

 だけど、もっと別の意味の「ありがとう」もあるような気がする。
 20年間にあった様々な出会いに対して。
 心配をかけた事もあったけど、今まで持ってきてくれたことに対して。
 
 「電車」と言う形でそこには無機質なものが存在している。だけど、その裏にある様々な人の様々な想い、本当に言葉に書けば幾ら書いても書ききれない「想い」と言う言葉がこの「ありがとう」と言う言葉に込められている事に気づいた時、そこにある「ありがとう」と言う言葉の重さ、そして、「お疲れ様」と言う言葉で無いことの意味を理解することができた。

 多分、それは自分からあの日、何かを買ってくれたお客様への感謝のキモチも入っているのかもしれない。そして、あの日のお客さんからの感謝のキモチなのかもしれない。「お疲れ様」と言う言葉で表現できないもの、それが、「ありがとう」と言う言葉になったのかと思う。

 300系はもう走ってこない。
 だけど、その残したものの大きさ、それはかけがえの無いものだと思うし、自分もそんなチームの中に一瞬だけでも居た事を誇りに思ってもいいのかもしれない。

 平成24年3月16日。
 「ミライ」が「キノウ」になる事を見届けて。